吹雪

『ジャンピング』
よく晴れた日は
子供は屋外で遊びたくなるのだそうです。
では、子供とはいくつの年齢のことをさすのか?
屋外とはどこからどこまでか?
ユキは寒い風が吹くと日当たりのいい窓際にいる。
これも外の日差しを浴びる行動なのだから
私たちにしてみれば
春が来たことをうれしく思う
充分にアクティブな活動だといえる。
でも青空はもう少し外がいいらしい。
ユキも春の花のにおいがする場所へ──
とても手が届かない高い枝の上から落ちてきた花びらを手にとることができる
あとわずかに踏み出して
風が吹くほうへと向かいたいと言う。
そのような冒険の季節なのだとか。
気温の変化がどこまで人間の心に影響を与えるのだろうか。
それを確認するために
私ももうあと一歩か二歩、庭側へと歩いたほうがいいのか。
迷っているうちに春は過ぎるものだと主張する子が
どうやら我が家には多い気がします。
しかし、そんなにすぐには春は通り過ぎていかないことは
私よりも長く生きて、暦を見つめてきた姉たちにはわかるはずなのに
なぜだろう。
もしかしたら私もまだ得たことがない情報が何かあるのでは?
だとしたら
それを一番よく知っているのは
庭で遊ぶのが誰よりも好きな青空なのかもしれない。
きっと青空に学ぶことは
私が今まで想定していたよりもずっと多いのだろう。
今日は山のほうまで様子を見についてきてほしいとのことでした。
私とユキの付き添いだから
そこまで遠出するつもりはなかったのに
風に花が揺れる景色が
人を誘うように
私たちを山のほうまで連れて行きます。
青空の目的は
かえるを探し出すことだという。
春になったから
土から出てくるというのが
青空の唱える説です。
たぶん──
まちがっているのではないだろうか。
なぜか木の陰を探したり、動かない岩を叩いて反応を調べている。
もちろんかえるは出てきません。
まだいないと思います。
両生類だから子供の時はおたまじゃくしで
これから時間をかけて大きくなり、手足が生えて
梅雨ぐらいになって、湿り気のある場所を探すと隠れていることがある。
それがかえるです。
あまり大きくない固体を良く見かけます。
このあたりは気候の条件的にも大きく育たないのでしょう。
青空みたいに行き当たりばったりの探し方では
仮にかえるの鳴き声が聞こえる季節でも見つからないのではないか?
しかし毎年、何匹も小さい固体を捕まえて戻ってくるから
そうでもないのだろうか。
これから夏にかけて学んでいくのでしょうか?
あるいは、私の知らない方法を何か知っている可能性がある。
やはり私はこれから、青空に学ぶことが多いように思えます。
今日の捕獲数はゼロでした。
まあ私もかえるがいてほしかったわけではないし
青空も特に不満はないらしく、家に戻ってきて
かえるのことはすべて忘れたようにはしゃいでいる。
うーん、ああ見えてまたほこりっぽい野山に私たちを誘うと予想できるので
これからできれば一匹くらいはつかまえるべきか……
やはり仲間もいたほうがいいだろうから、二匹か三匹、
あまり数が多くても青空が育てていけるとは思えない。
つかまえてその場で逃がすといいと説得したら聞いてくれるでしょうか。
現在の目的は捕獲であって飼育ではない。
もしもつかまえたならば、私も気が変わるものだろうか?
かえるの魅力について
青空はたくさん伝えてくれましたが
私はまだ理解したとはいえません。
ただ、晴れた日を選んで遠出をすることに
まったく魅力がないわけではなさそうだし
思いがけない動きで飛び跳ねて逃げるのを追いかけるのも
楽しいのだろう、と
そんな気分になるときもあります。
春の心地よい陽気のせいなのかもしれません。