海晴

『太陽さんさん』
予報は正しく
まさに春まっさかりの気温となった一日。
三月はまだこれからで
寒さが戻ってくる大変な日もたくさんあるとしても
こんな快晴のもと、気持ちよく過ごせたら
いいことばっかりのような気がしてしまう。
澄み渡った晴天を見上げたとき
襟元を通り過ぎていく風がうれしさを運んだら。
あたりの人並みはどこかゆったり
冷たい厳しさが通り過ぎたみたいに陽射しの下で優しかったら
たぶん今日はいいことがありましたと
ためらいもなく言える日。
お約束しておりましたとおり
三月になって春が来ました!
別に私が連れてきたわけじゃないんだけど
季節の話題でお伝えできる日本各地の模様も
このときを待っていた人たちばかりのようなほがらかな顔。
カメラの向こうに半袖やミニスカートの大胆な格好を目にしたって
今日ばかりは悲鳴をあげて縮まったりしない!
全国的に春の暖かさ。
おおいそがしで詰め込んだ話題もひらきかけた桜色。
お天気番組はようやく
笑顔を詰め込んで時間いっぱいお届けできる時期がやってきました。
まあ、花粉症の状況もお伝えしなければならないし
明日からまた気温は下がるんだけど
でもたまにはこういう内容のごあいさつができなくては
お天気にうるさい海晴はとてもがっかりして肩を落とし
じとーっとうつむきがちになってしまう気がするの!
なんだかうれしい忙しさでした。
よーし
海晴、よくがんばった!
今まで雌伏のときを過ごし
これからは気温の話題も毎日楽しく
ついに春のかわいい元気が出るおしゃれを
画面の向こうのあなたへおせっかいにも忠告できたりするのね!
もちろん大切な家族のみんなには顔を合わせてお話ができて
時には着替えも手伝ってあげる必要があるのだから
あーこれは大変だーって
うれしくなってしまうかも?
こんなにいい天気になると
まじめにお仕事もしたことだし
せっかくだからお伝えするだけじゃなくて自分でも飛び出して行ってみたくなるわね。
春がうれしいのは
もちろんお伝えする側ばかりではないはずで
次の季節が届いたら
この日のために用意しておいたとっておきに着替えて
頭のてっぺんから足元まで今までできなかったくふうを添え
自分の足で新しい景色を探しに出かけるのもいい。
えっ?
何かと忙しい時期でなかなか余裕がないって?
学生のみんなもひとつの変わり目で心の準備も時間がかかる頃だもんね。
それは確かに、ママだって次の戦略に新しいアイドルたちの準備をはじめて
いつのまにか私が計画に組み込まれていて
気がついたらお仕事のひとつで歌やダンスのレッスンをしている、
なんていうことが普通に起こるのだってやはり変化が多い春ならではという気がするけど。
でも私だって景色の小さな発見に喜んだりしたい普通の女の子なんだもの。
とりあえず帰り道で見かけた人たちの顔みたいに
いよいよ凍える手をこすったり心配しないでもいい予感でうずうずしている
そんな一人になって歩く
見慣れた街の新鮮な帰り道です。
でも私は冷たい手をあたためてくれる人がいたからそんなにつらくはなかったかもしれないな。
これからも近くで同じ景色を見つめてそれぞれの発見を語り合い
お互いを思いながら過ごしていくのだと知っている。
変わる季節にもずっと確かな愛をいつまでも。
まだもう少しの寒さの間は、照れずに手をつないでくれるよね。