星花

『白い景色』
3月と言ってもまだまだ油断はできず
霧が出て肌寒い日。
だけど、冬の間だったら日陰でかちかちに凍ってしまったり
窓が冷たそうに白くなっていたりするのに
今日はお庭は小さな水たまがぽつぽつ、
ガラスを伝っておいかけっこをする雨の糸。
こたつに入ったらすっかり気持ち良さそうな顔をする夕凪ちゃんも
どたばたほこりをたてて
あっちに行ったりこっちに来たり
疲れたところでまた寝てる。
いつものようにかけてあげたブランケットも
そろそろ出番は終わりなのでしょうか?
ところが!
ゆっくりおうちで春を思ってすごした
こんな日の後に
まだ寒さは訪れるの。
厳しい時期が長くても
助け合って乗り越える、
それってだいじなこと!
星花はどちらかというと助けてもらうのがほとんどで
ちょっと寒いときは人気になる子供たちの小さい暖かな体を
おひざに乗せる順番を
じゃんけんで決めるメンバーに参加したりするのです。
もし、じゃんけんで決めたあとで夕凪ちゃんがおひざにやってくる事になったら
星花は一体どうするつもりなのか?
まだ順番決めに参加することのない夕凪ちゃんは
そのへんをわきまえているかしこい子?
ゆっくりしているのが苦手なだけかも?
また寒さが戻ってきたら、マリーちゃんたちの奪い合いが激しくなって
なるべくおひざのうえで長いこと落ち着いてくれるように
今からお願いを考えておかなければなりません。
はっ!?
今日、小雨ちゃんや麗ちゃんが熱心にはげんでいたあやとり遊びは
おひざに乗せて教えてあげるため!?
星花が挑戦すると
なぜか途中ですぐ一本の紐の輪に戻ってしまうあやとりの毛糸。
あかあおしろきいろももいろ……
星花の赤い糸でできた
東京タワーが……
今ごろは霧の中けぶる
そびえたつ東京タワーが一本の紐に!
あやとりはそわそわむずむず
むずかしーいですね。
あやとりのうた。
なぜか途中からあきらめて寝転んだ夕凪ちゃんが作ってくれたうたが
みんなに広まる。
そしたら
ヒカルお姉ちゃんの集中力がぷっつり途切れて
白い輪を丸めながら叫ぶの。
雨が弱くなったから、ちょっと走ってこようかな!
お兄ちゃん!
いきなりとんでもないことを言い出したときのヒカルお姉ちゃんを止めるには
みんなでがっしりしがみついて
最後はおひざに乗って動かないのが有効ですよ!
まあ、星花はやはり重くて
おひざの間がぴったりのポジションだったけど。
久しぶりに星花は
背中から暖かく
しっかり受け止めてもらえた小さい子。
これから夕凪ちゃんたちを乗せてあげるときの参考にできそうな
今の体格ではちょっと無理なような
残りわずかとなった冬のためのレッスン。
激しい雨だとしても豪傑たちは戦場に出て行くのが
星花が春夏秋冬胸を躍らせる三国志なのだけど
家族が寒い思いをしていたら
星花はひきとめて
みんなのいる暖かなおうちの中で
雨のときくらいはのんびりしていってほしいと思うの。
お兄ちゃんがいて暖まってくれるのも、星花が一緒にいるこのおうちだから
おひざのあいだにもぞもぞもぐりこんでくる子がいたら
そういうものだからと、あんまり気にしないで
こたつに入れるぎりぎりで狭くても何とかゆっくりできるようにがんばってください!