立夏

『呼んでる』
だんだん暖かくなって
初々しい春に近づきつつあり
これはもうミニスカートを揺らして
何もかも見えてしまってもいいんじゃないだろうか?
というくらい開放的な
天気がいいって
うれしいです!
うきうきしすぎてずっこけたり
とんだ拍子に足を痛めたりする
ハイテンションのリッカには注意が必要なこの季節
今日の失敗談といえば
黄色と白の花が咲く坂道で滑って
おしりをそりみたいにしながら
道なき道を開拓し
パンツを泥の色に染めてしまったことかな!
あーあ、おパンツが……
でもまあパンツや靴下やぷるんぷるんのふとももが汚れたくらいで
命までとられるわけではないんだけど
引っ掻き回された一直線の軌道を
せっかく咲いた春の花が土にまみれていたら
ひどいことをしてしまったーってなって
涙目で帰ってきたの!
おしりも打ったし
すりむいた手のひらもだけど
胸が痛いのが悲しいー!
でも小雨ちゃんに話をすると
もともと植物は風や雨に強くできてるから
それくらい大丈夫。
とつぜんの乱入にかき回されたとしても
根っこがしっかりと張っていたら
また立ち直って花を咲かせる。
しぶといくらいのたくましい生命力があるのに
やっぱりたくましい立夏ちゃんが落ち込むわけがないって
リッカが泣きべそをかいていたせいで
つられて涙ぐんでしまった!
なんでかばってくれた小雨ちゃんが泣くのか!?
うわーん、そんなのいけない!
もうリカは、ものすごい転び方をしたくらいで泣かないよ!
いや泣くかな、あんまり転ぶと。
でもすぐ立ち直るよ!
そういえば
引っかきまわされても平気な顔でけろりとしたまんまなのは
子供の頃から得意なほうで
まわりにびっくりされていたくらいじゃん!
あなたはどちらかというともっと動揺しなさい、みたいな?
顔面をすりむいても笑って遊びに行くのがよゆう。
やっぱり花やなんやらに負けないパワーがある。
気持ちのいい風やおひさまからそういうのをもらいながらやってきた……
またすぐに花でいっぱいになるはずの坂道。
ふくらんでいく春の景色に
このリカが負けていたらどうするの?
今までずっと、よくわからない元気だけで生きてきたというのに!
と、いったようなわけでリカは明るさを取り戻し
小雨ちゃんを抱きしめて
なでてあげて
持ち上げて
おんぶもして
ぶんぶんふりまわして
悲鳴を聞きつけた麗ちゃんが飛んできて
あれは超特急だったなあ!
リッカの逃げ足もなかなかだった気がする。
ごめんなさーいって。
もっと女の子らしくしなさいと
いつもいつも言われ続け
今日も例に漏れずだった暖かくて晴れた午後。
光をさんさん浴びて
たくましく大きく育ったから
どれだけめげないものなのか
オニーチャンもつっついてみてもいーよ!
折れない
めげない。
いつか花が咲くかもしれない生命力。
春のお天気が似合いすぎて
ちょっと滑ったりしたときにどこのどんな負けず嫌いよりも
たちまち勢い良く起き上がるから
忘れないで!
そのくらいの元気じゃあ
びっくりしないようにネ。