ヒカル

『ゆううつの』
どうも明日の天気は雨。
このところ晴天が続いて
毎日気持ちが良くて浮かれていたのかもしれない……
だって今日は少しやりのこしたことがあるようなときだって
またいいお天気の時には、って思っていていい。
一瞬沈んだと思うと
ぱーっと浮かんで
暖かな空気で上下するなんて、ほとんど気球みたい。
そんなにふわふわした生態の生き物だったつもりなんてないのにね。
だからちょっとお天気がくもりがちというだけで
もうちょっとぎりぎりまで寄せたかったライン際の攻めが……
ああ、つまりテニス部の助っ人に行ったときの話。
ラインの真上をバウンドするぎりぎりのボールなんて
誰だってそう簡単に打ち返せるわけがない。
にやり。
だったら狙ってみたいって
攻撃の瞬間には思うものだろう?
たとえ数ミリのズレでアウトの判定を食らう諸刃の剣だとしても。
しかも自分としては針を通すような狙い済ましたボールを打ち返せたと思っても
審判から見たら外れていた、ということになったら
やっぱり逆らったらいけないわけだから……
つい熱くなったりしていたら
判定に抗議を申し立てて
レッドカードで
一発退場!
いや、テニスはそんなカードないけど。
ないと思うよ……?
というか退場なんてしている人は見たことないから
実際にあったら私の知らないところであり
そんなルールに今さら気がついたりするなんてまさか?
サッカーだったらラフプレーでもらってしまうレッドカード。
多少強引なのも戦術の一部だからって
そんなのをもらってしまうと
かなーり落ち込むと
思うんだよね!
正々堂々、自分の鍛え上げた体一つで挑むのがスポーツの基本。
一番の楽しみ。
策略を練る面白さがあっていいのと同じくらい
真正面からぶつかるすがすがしさを大事にしてもいいじゃない。
だから抗議はしない。
本当にしません!
したくないけど
熱くなっていたら……ほら……
自分でも思いがけない行動に出てしまうことが
ないでもない。
オマエにはよく知られてしまっているから今さら隠しても仕方ない。
わけのわからないこと、無茶なこと──
今までさんざん言ったっけ!
たぶんこれからも
自分を抑えきれないで。
だって思いっきり狙って
そのために鍛え上げてきた──わけでもないけど、それなりに自信のある体力と集中力で
激しい戦いの中、相手の実力を認めた上の全力で
ようやく最高のレシーブを返したら
アウト。
想像するだけで身悶えるようだ!
だからといって手加減なんてできないから
狙いはいちばん自信のある一球。
審判にも誰にも文句を言わせないきれいでまっすぐなやつがいい。
その一瞬のために
積み重ねる練習。
もしも結果につながらなくても
私はその時を想像したら
体が勝手にむずむずして
ああ、いいなって
まだ一度もそんな完璧な戦いなんてできたことないのに。
たいていうまくいったりできなかったりの行ったり来たり。
でも、やりたくなってしまう。
目指したくなるんだ。
だから明日も
止まったら死ぬんじゃないかってくらいに動いている。
そんな感じ。
いつも限界いっぱいまでできると思っていたのに
ああー
そうか、雨があったかあー!
このごろ、すっかりいい天気なんだもん。
本気で忘れていた……
天気予報の雨マークで
こんなにがくっとなるのも
わがままというか
のんきというか
なんというか
まるっきり子供みたいだな。
一日くらいみっちり筋トレをするのも気分が変わっていいかもしれないし
それに実際何がどうなるのか
明日までわからないものだから
まあ……
落ち込んでいても仕方ないし
小さいこと一緒に早く寝て
気分を変えてしまおう!
じゃ、おやすみなさい。
今日はオマエがなかなか眠くならなくても
就寝前にひと汗の運動には付き合えないぞ!
うでずもうとかそんないつものやつは。
たまには、海晴姉と一緒にヨガにでも挑戦してみたら?
新鮮なことをしたら
新しい発見があるかもしれない。
もし何か面白いことがあったら、後でちゃんと教えてくれるだろう?
きっとだぞ!