海晴

『リラックス』
やっぱり休日はいいわね。
大事な家族の顔を見ながらのんびり。
ばりばり働く大人の女でも
こんな時間は必要だと思う。
決していつもこんなに時間をかけてくつろげるとは限らなくて
どたばた大騒ぎに巻き込まれがち。
優しい蛍ちゃんの入れてくれたお茶をふーふーできる
わずかなひと時だとしても。
心からふっと重荷がとれるような
そんなものがあるなんて意識もしていなかった凝りがほぐれていく瞬間。
ちょっとまとまった時間ができたときだけだよね。
ま、忙しいときはそれなりに
大都市の端から端まで自分の足だけを頼りに走り回るような感じで
ほんのひととき立ち止まり、呼吸を整えるためにふと顔を上げた
その時にしか見ることのできない景色だってある。
あるような気がする。
あってもおかしくはない……かもしれないな?
エンドルフィンが見せる幻みたいなもの?
せめていいことがあるとでも思わないとやっていられない感じが?
あらいやだ!
これじゃあなんだかいやいやお仕事をしているみたいじゃない?
そうじゃなくて、大変なときもあるなー、
のんびりしているときもあるわね、くらいのあれで。
メリハリ。
そして今は
ゆっくり体を伸ばしてリラックス。
すみずみまで緊張も何もない力を抜いた状態へと
全身はまんべんなく解放され
とろけてしまいそうにだらだらと
もはや何もかも考えることすら忘れてしまいそうな領域に……
ん?
それもちょっとなんだかな?
まあこんな気持ちのいい時間には
細かい表現なんてどうでもいいの。
土曜日の午後を満喫するのも
できる大人の能力の一つよ。
だから椅子の背に体を預け
愛する弟の首根っこに腕を回して引きずり寄せ
まあいいじゃない、
こんなのも。
なんてね。
少しくらい距離が近すぎたって
それも休日の醍醐味。
ということにしておけば何も難しいことはない。
だからちょっと明日の日曜日、
年末以来久しぶりに偶然会った友達のみんなと
遅い新年会も兼ねてにぎやかにやろうよって話になり
あれよあれよと女子グループで遊園地に行く約束がまとまって
こんなことを知った遊びたい盛りのわが家族たちが
お姉ちゃん一人だけ楽しい夢の物語の国を巡るなんてことがあっていいものか
責任ある年長の立場として
みんなに示しがつかないのではないかと
ついつい気後れしてしそうになっても
もう約束しちゃったんだし
まあいいか、と
そういうこともある、
あるのだ!
こそこそ隠れて背中を丸めてじゃなくて
胸を張って言い訳もせず
おみやげを買って帰るからね、
くらいに気楽に受け入れられる
そんな余裕を育てるのが
暖かい陽射しを浴びて光も時ものんびりたゆたうような
日の出ている明るい時間も短い貴重な晴れた冬の午後。
そうよね。
決まってしまったものは
もう今さらだし。
ノリノリで盛り上がってきゃぴきゃぴ話して
後になってちょっと急な予定でどうかな?
なんて落ち着きながら考え直しても
せっかくだから
もうこまごましたことは忘れて
お姉ちゃんは思い切ってしまいます。
決して浮気じゃない。
キミのことを忘れるわけじゃないの。
土日の休日の過ごし方、
まだ大人になりきれないかもしれないな?
そういうお年頃でした。
まあ、氷柱ちゃんや麗ちゃんの難しいお話は後で聞くね!
ちゃーんとすてきなおみやげを探してまいります。
こんな時に見守ってくれそうな優しい弟クンのことを考えながら
喜んでくれそうなお留守番のごほうび、
頼れるたのもしい姿や
健気な顔を
思い浮かべつつ
海晴、全力で楽しんでくる!