吹雪

ホーリーナイト』
24日の夜から25日の朝にかけて
サンタクロースのおじいさんが子供たちにプレゼントを届けます。
世界中、どんな遠い場所でも
良い子のお願いを必ず聞いてやってきてくれるという
現実的にはなかなか考えにくいお話が世界中で伝えられているので。
私たちの家の子供たちの様子は
プレゼントが間違いなく届くと確信して
楽しみにしている、というより
本当に届くのだろうか、
自分は果たしてこの一年
ちゃんとサンタさんが褒めてくれる良い子にしていただろうか?
落ち着かない表情が中心といったところ。
誰にでもよい事を続けた心当たりはあるもので
あるいは、もしかしたらと届かない理由も一つ二つ思い浮かぶものらしい。
そういう細かいことをあまり考えないらしい立夏姉や夕凪姉、
青空やあさひは──
待ちくたびれて今日は早く眠ってしまったらしい。
何日も前からとびはねてはしゃぎ続け、
春風姉が見たところによると
小さな子供たちは本番を迎えるまでの時間も
プレゼントを枕元に見つける瞬間と同じくらいに力いっぱい喜んで過ごすのだろう、
とのこと。
その話の続きでは
春風姉もまだやはり子供で
私もどうも子供に見えるそうです。
普段と違う状態にあって
明るい感情が激しく活動している家庭内を見ることは
私にとっても得るものが多い歓迎すべき状態といえるのだろうか。
光が灯り、高い声の歌が聞こえ続けているお祭り騒ぎ。
どちらかというと音の少ない環境であるほど人は落ち着く傾向にあるはず。
なのに私はこの騒ぎを望んでいるのか。
うれしいとは一体どういう理由からなのか。
小さい子たちは直前の夜を迎えて
遅くまで起きていたばかりにプレゼントが届かないという悲しい朝を
なんとしても避けたいと本気なのか
24日のクリスマスイブに、
あたたかなホワイトシチューとクリスマスプディングの食事を済ませた後
今夜は平均的な日よりも少し早く誰もが眠りについて
小さな電球だけを残し
明かりが消えた静寂の夜がいつもよりも早く訪れた──
午後9時のこと。
時計と共に規則正しいスケジュールの生活をすることが快適だと考え
ふつうはみんなより早くベッドに入って眠っている私は
普段どおりの生活をした結果、
休息の機会に今日は一足出遅れて。
別に順番どおりに眠っていくわけでもないはずなのに
一年に一度の静かな夜に戸惑っているのだろうか。
眠れないときに人はどのように対応するのか?
遠足の前の日。
興奮した誕生日の夜。
眠るにはなぜか惜しい気がする雰囲気を経験した家族たちの相談。
今までよく話をしているのを聞いていたはずなのに
自分が緊急に集める情報ではないこともあり
具体的な行動をはっきり記憶してはいないまま。
確か、こんな時はよく──
話だけでも聞いてもらえたら落ち着くと
そんな話があったような。
言葉も理由も必要なく
話をしなくても、愛する人と一緒にいられたらそれでいいと
そんな意見もあったような。
愛する人
星花姉と夕凪姉のもこりと掛け布団が膨らんだベッドからは
すでにゆっくりとした寝息が聞こえている。
家族が寝静まる時間になって部屋から出ることなど
朝と判断できる時刻が来て、暗いうちから起き出す以外には経験がないから
次に誰かと話す機会が訪れるのは
海晴姉が朝の天気予報のために家を出る頃になってから。
悩みで眠れないという相談を
飲み物を用意する際になんとなく横で聞いていたときも
ベッドで考え事をすることはあるとしても
あまり本格的に頭を働かせるには向いていないので
体重や学力、学校行事の問題を抱えていても
他の状況で解決策を探すほうが近道であり
睡眠をとることには関係がないのでは。
話を聞いていて、とりあえず解決できそうな気配なら良かったと
その場を通り過ぎるくらいだった思い出が今になって浮かび上がってくると
これはどうも悩み事や考え事で眠れない状態ではないようだ、
と。
その場合はまた別の時間に解決策を探すということで落ち着くのだから。
眠れなくなるほど困る必要は特にない……
この一年、良い子であったかどうかは考えても仕方がないから。
するとやはり現在の状況は
慣れない雰囲気に脳も体も戸惑っているだけなのか
あるいは今まさに
次の日にやってくる楽しみを待っていて眠れないと考えればよいのか。
ではどうすればいいかというと
解決策は今まで誰からも教えられたことはなく
楽しみがあるのはいいことだ、で聞いている話はいつも終わっていたような気がする。
来年のプレゼントには
待ち遠しい朝が訪れる前の過ごし方の知識を
得られるよう期待してもいいのだろうか。
いや、それは知らなくてもかまわないかもしれない?
今年も良い子でいられて、プレゼントが全ての子供に届くのであれば
際限なく根拠も必要なく私のどんな希望であっても
叶えられる願い事であるような気がします。
本当にうれしいプレゼントが届いたら
私の願いも──
また遠い未来、いつの時も叶うようになる。
そうであればいい。