観月

『星の瞬き』
一目でおいしいお皿の飾り付けや──
ツリーの飾り付けが少し不器用でも楽しいものであったり。
お気に入りのご本は表紙を見るだけでもわくわくするもので
小難しい漢字が並んで、光に当たって色があせてしまっても
好きなのだから
むしろ、こうでなくてはな。
でも今の時期はきれいな本が人気でとてもかなわぬ。
さくらも虹子もこればっかりに夢中になっても仕方がない。
師走を迎え
あたりの景色はどこも華やかに彩りを増して
幼稚園でも、降誕のお祭りを待つ子羊の絵が並んでかわいらしい。
わくわく浮かれ出す年の暮れ。
寒い日がいくら続いても、相も変わらず世間は慌しくにぎやかで
きらきらの街並みからはいつでもこぼれる笑い声。
こどもばっかりで、昔の人だとか愛だとかまだよくわからない子ばかりの家で
やっぱりどうしても楽しみでたまらないのは
冬の景色がどんどん緑と赤と
透き通った冷たい夜空から星が降りてきたような光の色に飾られて
どうしても陽気になってしまうから。
年末のお仕事やお勉強でなかなか大変な姉じゃたちも
クリスマスが近いからお土産。
雪だるまの小物を買ってきて飾ったり、
色とりどりの星をツリーに増やしたりしているな。
見る限りどこもこんなにまぶしくなってしまったら
きっとそうせずにはいられない。
おやつのお土産も増えるし
小さい子たちにとってはいいことだらけの12月。
わらわもまだ小さい子で
無邪気に楽しめる今のうちに楽しんでおくのが得じゃ!
と思っていたら
なかなかしっかりした観月ちゃんで
そういう考え方ができるあたり、意外と老成しているような?
姉じゃたちが首をかしげていた。
そんなものであろうか?
いずれにしても
面白がっても
氷柱姉じゃがお勉強の気分転換にとクリスマスのお料理開発に
勝手にどしどし参加していって勝手にめんどくさがっているようでも
誰にでも等しくクリスマスは訪れて
のんびり今年を振り返る時間も──
まだご用がいっぱいでてんやわんやの海晴姉じゃや
忙しさを理由にここぞとばかりにママのお仕事に呼び出されて珍しく活動的な霙姉じゃも
とても今年はもうゆっくりできる気がしない!
そろそろ一年を見送る準備を心の中でしておかないとね、
なんて言っていても
いったん休憩に座り込んでみかんをむいていられるのだから
忙しいと言っていられるうちは
わりとのんびりできるほうなのであろう。
本当にてんてこ舞いの時期となると
いつもばたんきゅーなのじゃから。
スーパーのちらしを眺めてこれからの楽しみを話し合いながら
なんだかんだで無理をせず、自分たちのできることに向き合っている。
若さで足りなくていっぱいいっぱいになろうとも
たまにこうして話をしてくれたらそれでいい。
わらわはちょっと心配したり
元気な顔を見て安心したりしながら
まだできることも少なくとも
お片づけやお皿洗いのお手伝いなどをがんばりながらここで待っている。
ばたばたしがちな年末も
のんびりのこたつとは少々似合わないこんな話題で積み重ねながら
どうにかやっていけたらそれが一番。
おうちにいるときにほっこり笑顔が浮かんだら
どんな夜もにこにこと小さな光を奏でている星明りを
家族だけの秘密にして眺めているよう。
大きな街で盛り上がる年末の祭事に
ほんのひとつだけ灯った豆粒みたいな光が
せいいっぱいに毎日を過ごしている我が家の無邪気な瞬きなのであろうな。
といった感想をこぼしたら
しっかりしているとか
子供とは思えないくらい立派だとか
まだ未熟なわらわがこのような言われようで良いのか
我が身に少しの疑問も感じるが
まあ、この時期ならではの賑やかさにぱーっと押し流されて
そのへんは結構どうでも良くなっていくのであろう。
寒くても、毎日をしっかり壮健に重ねつつ
お正月くらいにはむだにのんびりしているつもりで
今をしっかり。
誰であっても結局、できることはそれくらいなのだから
わらわが幼稚園の年中さんでも
やんちゃな妹たちの面倒を見たり、尊敬する兄じゃや姉じゃたちをしっかり支えながら
今年を悔いのない一年にする最後の激動の時間を
まあ、たまに休んだりしながらどうにか乗り切っていくのもいいものじゃ。