虹子

『じこくひょうのたび』
おにいちゃんっ!
にじこだよ。
おはなしきいてね?
ねえねえねえ
きいて!
あのね。
おにいちゃんは
てつどうのろせんは
どれがすき?
にじちゃんは……
さつひおれんじてつどうせん!
おれんじだって。
かわいいね。
あさからかーんとよくはれた
いいおてんきのきょうは
どこのまちだって、ひろがるあおぞらのしたを
きもちよくかぜをきってでんしゃがはしっている。
あせをながして
さわやかなえがお
いちにちじゅう、たくさんのひとをのせてはしるよ。
だから、こんなときには
きたのはしからみなみまでのりついで
いいところをひとつものがさないで
かけぬけなくちゃ。
むりだって?
とんでもない!
まほうのごほんにのって
はしっていけばいいの。
でんしゃはまぶしいひざしをあびて
うみのまちとやまのまちをはしる。
もりのにおいのする
おちばのトンネルを
がたんごとん
ふかまるあきにほほをそめて。
いまごろ、いちばんすてきなでんしゃは
おなじあおいそらをみながら
どこをはしっているのだろう?
おしえてくれるのは、これ!
じこくひょう。
うららおねえちゃんがポケットからとりだした
てのひらサイズ。
にじこのてよりおおきくて
ぶあついが
うららおねえちゃんのてのなかで
さらさらめくれていく。
はじまりは……
やっぱり、もよりえきから。
おおきなえきにでていったら
これがそのえきの
おしゃしん。
ごほんをひろげましょう。
これがそのえきの
でんしゃ。
こまかくて
こわれやすいから
あつかいちゅういよ!
うららおねえちゃんのもけい。
にじこ、だいじにだいじに
まえに
うしろに。
そして
これがそのえきの
たちぐいそば。
またちがうごほんをながめて
のりつぎじかんは
じゅういっぷん。
それとも……えきべん?
しょくどうしゃ?
なやんでいるじかんはないよ。
はやく、はやく
のりおくれたら
いいおてんきなのに
たびがはじまらないよ!
だからにじこは
ほたおねえちゃんの
おべんとう!
もってでかけました。
ぱくぱく。
もみじいろのからだをひからせて
あかいでんしゃがはいってくるえき。
あきだから?
まるいでんしゃはなぜまるい?
なぜなら、はやいから!
おそらいろのでんしゃがはしっていくのは
おうちのそらちゃんよりもはやくて
おうちのそらちゃんよりもおおきなおおきな
おそらがのびたさきっぽ。
だから、どこまでものせていってくれます。
だいじなひみつは
じこくひょうにあるの。
うららおねえちゃんはもうぜんぶしっている。
でも、おにいちゃんならわかる?
きたからみなみまで
どこまでもすきなところまでたびをするって
どこからどこまで?
にいがたと
ほっかいどうと
おきなわと
ハワイと
きゅうしゅうをのりついで
かえってきたのが
もよりえき。
たっだいまー!
はちじかんさんじゅうにふんのたびでした!
はい、おみやげは
たびさきでかいた
おにいちゃんのにがおえ。
うららおねえちゃん
そらちゃん
にじこといっしょに
みかんばたけのみえるホームで
はい、チーズ。
おにいちゃん、えがおでしょ?
たのしかったから。
こんど、いっしょにいこうね。
あしたもじょうしゃをおまちしております。
おわすれものにきをつけて
しゅっぱつしんこう!