ヒカル

『おるす』
二学期最初の休日の予定は
留守番。
一人ではないんだけど。
世話をするチビたちもいるし。
用事があって出かけるみんなが声をかけていく。
わりとすぐ帰ってくる子もいる。
おなかをすかしてきたら何か準備をしてもいい。
冷蔵庫にあるものをレンジするとか……
棚にあるパンを探し出すとか。
できることはあるし!
別に特別忙しくはないけれど
時間をもてあまして退屈するということもないのはありがたい。
目的もなくぼーっとして
どこともわからない場所に意識が飛んでしまっていると
騒がしい子たちが夕食の時にでもそろってから
こっちに戻って来るのに時間がかかるから。
まだ寝起きみたいにぼんやりしているのかな?
みたいな。
もう少しの間、特に何も考えないで眠たそうでもいいのかな。
そうなったらもうどこまでも
とことんまでゆっくりして
平日にはとても経験できないほどのお休みモード。
こんなにゆっくりできる時間が
この世にはあったのだろうか
というほど。
このごろはオマエに妹たちの相手を任せて
何もかも忘れてゆっくりできるのかもしれない、
そんな心境になることもしばしば。
忘れたってしょうがないんだけど。
普段から悩みはないんだし。
難しいことなんて何一つ考えていないんだから。
だけどたまには
何もせず過ごすこともできる休日。
そこにはまり込んでしまったら
こっちの世界に戻ってくるのは大変だから。
今日はそれなりに用事があって
忙しくばたばたしていた時間もたまにあったくらいで
ちょうどよかった。
留守番をした甲斐があった
というか……
たまには役に立った。
私でもできることがあるんだな、と感じる
年長が誰もいない家を任された実感。
うん、まあ
蛍の買出しについていく、お手伝いが上手になってきているさくらとか
一人でどこかへ出かけていって、あんまり手間がかからなかった麗とか
手がかかる子が少なかったり
小雨がいてみんなと歌ったり遊んでくれていたとか
ユキも体調にそんなに気をつけなくてもかまわない、いい陽気だったとか。
別に私がしていたこともあまり多くなかったけど。
あんまりいなくても問題なかった?
それでも、休日の家に一人くらい
私くらいの年のお姉さんがいるのはいいことだ、と思うし。
こういう日に限って、普段は家で過ごすのが好きな霙姉も朝からいない。
私一人でどうなることだろうと自信がなくても
ある程度どうにかなったみたい。
一人じゃないんだけど。
だいいち今日がどういう日なのかって考えても
何もそわそわする理由はないはずで。
いつもうるさい立夏
休日はわりと騒ぎの中心になるオマエがいないから
落ち着かなかったというだけ……
だと思う。
だから二人とも
これといって大変な出来事もなかったみたいな顔で
いつものままの顔で
無事に帰ってきた姿を見たから
それで満足したような
自分の一日に納得したような
特になんでもない休日を過ごしたような
よくわからないけど、難しい気分ではなかったから
たぶんこんなはっきりしない過ごし方をする日だって
私の人生には、たまに少しだけあってもいいような気もする。