『くもりがち』
今日のお天気は曇り。
晩ごはんの小学生組の話題で
絵日記に記録するお天気は晴れ?
のち雨?
くもり?
どれなのか議論になるほど曖昧なお天気でも
私が一日、暇をもてあまして一人で走っていたときは
たいてい曇り。
暇というか……
やることはあったはずで
掃除や片付けや買出しの手伝い。
やることは済ませたはずだったけど
それでもなんとなく
気がついたら走っていた日。
私が見ていた空は、ずっと灰色をした曇り。
そういえば、ぼーっとしている間は
さっと通り過ぎる雨の音を聞いたような気もする。
まぶしい光が、みんなのそばのベビーベッドで眠っているあさひの近くを
照らしていたような……
そんな記憶も少し。
どうしてこんなに走っていたのかといえば
たぶん、昨日よりも過ごしやすかったから。
あんまり無理をしたら明日は反動が出るかも?
と、出かける私を見送る海晴姉の冗談。
ぐったりしがちな暑い日が来たら、心行くまでのんびりできるように
今日は気が済むまで青春してくるのもいいかもね!
それともヒカルちゃんなら
今日も明日も平気でタフな姿を見せているのかも、
という話。
まあ明日は部活の助っ人に行く予定もあるから
無理をするわけにもいかないんだけど。
とりあえずこのくらいなら平気なペース。
むしろ、体を動かしていないと落ち着かない
普段からのトレーニングの一部。
タフってことでいいの?
それから、なんとなく他にすることも思いつかないままだった
もう一つの原因は
朝から日課のトレーニングに出かけるときに
ラジオ体操を済ませた後の何人かが
長い夏休み
そろそろ、たいくつだなー
今日も暑くなるかなー
ぼんやりしていたのを横目で見ながら出かけたランニング中。
暇なら誘ってやればよかったかな?
時間があったらついついだらだらしてしまうって
そういうことはよくあるものだから。
きっとはしゃぎながらついてくるよ。
ふだん、のんびりしているのか忙しそうなのかよくわからないまま
どうも霙姉あたりにつられてだらだらしていることが多いらしいオマエだって
ちょっとじっとり湿った日でも
さわやかな汗が流せることは、よく私が連れ出す経験のとおり。
なんとなく曇っていても気持ちい日になると思う!
そしたら、混雑しそうなシャワーの順番を
決め手から出かけたほうがいいかなあ?
戻ってみたら
みんなが集まっていたはずのリビングのソファには
予想していた人影は影も形もなくて
遠くから声が聞こえてくる様子だと
ふーん、宿題してるんだ。
えらいえらい!
八月も日付はついに十日を過ぎて
そろそろやっつけないといけない課題に
しぶしぶ重い腰を上げて立ち向かいはじめた子も多いこのごろ。
ああ、そうなんだ。
いいことだな。
計画的に進めてきた子が見てあげている様子の部屋を覗いて安心して
そうしたら
すっぽり、自分のする事がなくなってしまったので。
あんまり強い日差しじゃないからいいか、と
冒険するつもりで町のそこらじゅうを走ってきてしまっただけ。
ときどき家に帰って
出かけて、違うルートを辿って
戻ってきたら朝のソファを確認して。
過ごしやすい日は誰にとってもうれしい。
夏はもちろん暑いほうがそれらしいけど
したいことがいっぱいあるのが夏休みだから。
やっぱりたまにはこういう
暑すぎるわけでもなく激しい天気の変化もなく
これは何をするにもうってつけ!
なんて日もたまにあったら
特にすることもなく
体を動かしているだけでうれしいな、
なんてことを言っている場合ではないかもしれないから。
だから一人で
これといって何事もない、のんびりと気ままな日。
ほんの少し日が差して
緑の木を落ちる雨のしずくに
きらめく反射を見せるあの景色を
今日は独り占め。
いつでも行けるように覚えた道のりは
また違う色に変わって
たぶん私は、今度は無理やりに連れ出した誰かを
いつかまた見たい場所に誘って
まぶしい日差しの下で遊んでいるだろう、と思う。