鞠莉SS

やや更新ペースが遅くなっている気がしますが、たぶんうちのサイトのサンシャイン話は、G’sを読んだあとでこれから一ヶ月どうしたらいいの! みたいな感じでやっていますので、時間がなくて書くことがまとまらなくてもだらだら妄想ばかりしているだけです。ヨハネの堕天は、中二だとか逃避というより、運の悪さを前向きに積極的な武器として使おうとしている感じ、もしかしてこの子は頭がいい子なんじゃないかという気がしてきて、実はヨハネがメンバーで一番精神的に大人であってみんなを引っ張っていく展開もあるのかな、みたいなことも考えたけど、運が悪いのに何度もコンビニのくじ引きに挑んで当たるかどうかわくわくしているよしこちゃんを想像するとなんだかかわいい気もするし、まだこの子のこと全然わからないです。
ここではときどき理屈っぽい話をすることもありますが、サンシャインは「いったい何が起こっているんだ」っていう素朴な驚きを楽しんでいる感じなので、そんなふうにやっていくのがうちの目標かもです。よく考えたら乗馬って!

『鞠莉ちゃん加入ルート二次創作編』

スズランの日には間に合わなかったけれど、ジャンヌ・ダルク祭の町を歩いた休日をすぎて。
ブローニュの森にはアイリス、ノルマンディーには白いりんごの花が咲く頃。
今のフランスはいい季節で、雨も少なく。
エメラルドの色彩をして、からりと乾いた空。
地上の緑といえば、ぶどう畑の房がまだ色も変わらず、葉の形も幼くて。
ホテルの仕入れのため、お世話になってる農家の人たちに育ち具合を聞きながら歩くお仕事だって、広い帽子のレディを連れていて、ましてや5月のフランスなら楽しいレジャーだと思うヨ。
大きく育った一人娘。
家庭を持つにはまだ早いとうわさの。
だけど、もういつ運命の相手にさらわれてしまってもおかしくないくらいにはきれいになった。
周りの人たちがささやく、そんな旅を終えて。
一人で空港に降り立ったのは、パパがまだ向こうにいるつもりだったから。
それに、私が日本に用がある。
しつこく届く、chikaチャンのメールもうるさいもんね!
新しくできた小さなオトモダチ。
ひとつ下。
元気で短い、よく届く言葉は「こっちは楽しいよ!」で。
返すメールは、南フランスの光を浴びた景色。
負けてないよ。
いいところだよ。
そんな旅先にもくり返し、勧誘メール。
帰ったら言ってやらなくちゃ。
かわいかったよー!
早く帰りたくなったよ。
ありがとー!
チャオ!
って、ハグしてみせなきゃ。
内浦に帰ったら、することがいっぱいある。
この場所でしかできないわけでもないけれど。
日本のお勉強。
日本の食べ物。
そうぞうしい友達もいるから。
もう、海のある町は私のホームグラウンドで。
すっかり気持ちの上では活動の中心。
帰る場所。
ここで眠って、ここで遊んで、ここでお仕事するのかな?
いつもの道で、海を見ながら思う。
やっぱり、この場所でしかできないお仕事を選ぶかもしれないけど。
まだもうしばらくは。
私はスチューデンツ。
学校、いこうっと!
チカちゃんは待ってるって言ってたよ。
部室で。
オー……
ちょっと遠いかな。
あんまりオジャマしてるヒマないよ!
ちょうどあのあたりを通りがかる用事あったっけ?
寄り道できるかなあ。
たまに音楽をかけて踊っているのを見た、あの桜の木の下も。
帰ってきたら雨だし。
今年は少し早い夏の知らせのタイフーン。
日本はときどきメリハリがきいた気候をしている土地。
SO HARD!
チカちゃんのちっちゃな部員勧誘も、一休み。
しおれてないといいね?
雨で輝く花が日本にはある。
四季の国。
フランスよりももう少し変化が激しくて。
だから、かわいい子の表情だって、ころころ変わるよ。
8人もいると、ほんのちょっと寄り道してからかっていくだけで楽しいの。
どうしても私が参加しないといけない?
秋葉原から転校してきたあたり、素質あり。
本当は穏やかでやさしいリコちゃん。
そして、生徒会長で地元の有名人で。
何より、誰よりも負けず嫌いのダイヤちゃんが参加しているもの。
夢に向かって輝きはじめたルビィちゃんも。
体を動かすのが得意で、楽しいことに敏感らしい曜ちゃんも。
お友達思いの花ちゃんも、頼りになりそうな果南ちゃんもいる。
よしこちゃんはよくわからないけど、自信があるみたいだし。
私に期待されたって。
どうして?
おかしいね、そんなに相手できるわけじゃないのに。
私から積極的になんて。
アイドル活動なんて。
他にすることいっぱいあるってば!
お年頃ですもの。
ね!
だから、たまにするだけの寄り道。
私がいなくても回る場所を、遠くから見てる。
果南ちゃんが言ってたの。
どうもチカちゃん自身は、自分が内浦の一番小さなあどけない一部分だと思っているらしい。
アイドルグループを結成したら、たぶん身近でどこにでもいる、隣の席の親しみの持てる子担当。
みたいなことを考えているらしいって。
だから、大きくて華やかで。
ワールドワイド、インターナショナル。
海を越え、世界に開かれた内浦が、目の前に現れたら。
誘わずにいられなくなったらしい。
私はいつも、そんなにたいしたことしていないと思うけど。
ふつうに旅をするだけのレディは、それでも考える。
たまーにひっかかっていたこと。
おもしろいことをしているかもしれない。
私のふるさとのお友達が集まって、みんなで楽しんでいる。
地元で遊んでるの。
だからときどきは。
気になって、みんなのところに様子を見に行くんだよ。
部室の前に立つと、聞こえてくる言葉。
「ダイヤちゃん! お願いした曲できた!? マリーちゃんに似合いそうなクールな曲できた!?」
「曲はできましたが、でも、参加してくれると決まったわけではないのに。もし話がうまくいかなかったら、この曲はどうなるんですの」
「ダイヤちゃんも自分の曲を大事にしてるんだね。すごく真剣に作ってくれたんだね」
「べっ別にそんなことありませんわ! いくらでも作れるこんな曲なんてポイですわ! ポイ!」
「オーマイガー!」
「そこでマリーさんの真似をしなくてもいいです。捨てたりしません、うそです」
「もしマリーちゃんが参加してくれなかったらねえ、私がその曲のセンターを担当して、海を越えて世界に開かれたチカになる」
あれ!? 意外と大きな野望を!
「おすすめしません」
「丁寧にひどいことを! 私が躍ってるのを見たらね、マリーちゃんなら自分のほうがもっと上手に踊れるって、自信を持ってくれると思うの。見ている人に勇気を与える、これもアイドルの力だよね!」
「どうでしょうか……」
「私も言ってる途中で何か違うような気がしてはいたよ! おかしいね!?」
「そうですね。自分もこんなふうに踊りたい、輝きたいと思わせてくれるのがアイドルなのだと思います。これから私たちが猛練習を積み重ねて、そんなアイドルになろうとしているのです。がんばりましょう」
「ダイヤちゃんは意外と私に勇気をくれるよ」
「意外とではありません! これでも生徒会長です」
楽しそうな声がしてる。
よし!
なんだかわけがわからないから、今日はこのくらいにして帰ろう!
おみやげはまた今度、チカちゃんがもうちょっと落ち着いたときにね。
そんなときがあるのかは、まだよく知らない相手のこと。
愉快そうな子たちの声がする場所を見つけたの。
しばらくは、ここは私の気になる通り道の一つになると思うよ。