曜SS

ラブライブ本編の感想も書きたいけど、長くなるのは間違いないので……海未ちゃんの手紙がうれしい穂乃果を見ているとうれしい感じとか、めっちゃいっぱいあります。みんなで作る歌は今月で一区切りということみたいですが、来月からはどうなるのか予告がないので今は妄想しておくことにします。Q&Aとミニ投票は募集しているし、これからも続くみたいなので楽しみにしています。
自分が書いたヨハネSSについては、反省点も多いけど、ここで言っても仕方がないのでとりあえず抑えておきます。でも、アップしたときに梨子ちゃんを忘れていて、30分位してから追加したのはごめんなさい……気をつけます。あと書き手として考えていることといったら、ジャンピング土下座は知っていますがフルパワー360度全方位土下座はどのような姿勢で行えばいいのかなということくらいなので、どうでもいいことですね。
曜SSは、同じ一年のルビィが「お父さん」なのに、曜が対外的には「父親」呼びはなんとなく大人っぽい雰囲気があるとか、勢いがある感じ! かわいい!! 敬礼!!! とか感じたことがあんまりSSに生かされていないようだけど、気長にやっていきます。

『イノセン』
願いは叶うとか。
人間がどんな機械の助けも借りないで、電車を走って追い越せるとか。
やまない波しぶきが長い時間をかけて削っていく海辺の岩を、苦もなく崩したりとか。
台風をいっぺんに飲み込んだって言われるくらいまわりを壊し続けて、遊んでいるつもりで暴れて、大きなたくましい大人たちだって困らせた私だって──
深い緑の海に飛び込んでまるごと吹き飛ばすなんて、思いもしなかったのに。
当たり前に叶うということ。
人間だから。
どんなことだってできる。
絶対に叶う。
抱えた夢は全部。
夏の夜空みたいにきらめく星を抱えた小さな腕の中の、あの宝石の粒も。
まぶしく輝いて逃げられないくらい強い光で照らし出す、見回すいっぱいにうれしいものを届けているような光も。
どんな形をした願い事だって、胸の中で小さく渦をまき始めたら。
必ずもう。
叶うときまで。
ひょっとしたらたぶん、それからも。
ちかちかのまたたきから大きく育ち続けて、いつまでもやまない。
私は、天気が変わる気配がなんとなくわかる。
やっぱり、子供の頃からやんちゃで暴れん坊で雷様みたいだったから?
おへそを持っていかれた友達が小さい頃から何人だっただろう、って。
もっと大変な思いをした大人たちがいたか。
いつもごめんなさい!
本当は、もうちょっと落ち着こうとはしているの。
いつでも。
楽しくなってまわりの出来事がよく見えなくなって。
心の海に吹き始めた突風に、わーって大声が勝手に出てくるときでも。
思っている。
本当は、たまにもうちょっと止まって、落ち着いて回りを見て考えなきゃね。
私を囲んでいるみんなのこと。
だーいすき!
飛びついて言葉にするのがときどき恥ずかしくなるほど──
一緒にいる人たちのこと。
ちゃんと気にしていなきゃいけないのに! って思っても、生まれたときからだから。
だからもう無理!
大きくなったって変わらないよ。
笑って話してきた気持ちも本当なの。
涼しい首もとでいつも潮風を巻いて揺れるのは、お母さんが床屋をしてくれるといつも、もう少し女の子らしいところがあってもいいって笑いながら整えた長めに残した髪の毛。
私も笑いながら。
できないだろうなって気持ちと、その時だけは毛先の長さの分だけ実際おしとやかな気分になりながら。
何もはっきりしたものを捕まえないで揺れている、たよりない女の子らしさ。
この小さな特徴が、天気予報の名人が風を感じる秘訣だってうわさされたこともあるよ!
ぜんぜん関係ないけど!
ううん、実際の秘訣は今でも私にもわからないから、わずかに関係はあるかもしれない。
でもたぶん。
もちろん、海を知っている大人の人たちがよく言うみたいに、湿った風の匂いだとか、ねずみ色に変わる雲の色が気になることもある。
あるけど。
でも関係ないと思うんだよね!
わかっちゃうのは!
だから、前に聞いたことがあったおかげで。
会ったときはすぐに気がつくって、予想してたよ。
カンで見つける天気の境い目。
頭の中にピンと来る、はっきりした線があるようなときは……
嵐の気配!
子供の頃からハズレなしの経験が告げている。
今度も──
間違いありません!
前に、果南ちゃんのダイビングショップに寄って。
これからの毎日を、変わらない潮風を感じながら過ごすと知っている、町の半分を包む景色。
学校の行事で都会に行ったときには、気分が悪くなって帰ってきちゃったもの。
自分は強い子だって思ってたのにね!
実はもう、ここでしか過ごせなかった。
そんな当たり前のこともときどき忘れそうになるから、飛び込んでいく。
果てしなくどこまでも続くように広がっている海。
私を一人飲み込んで。
暴れたって叫んだって。
それに、嵐に荒れ狂うおそろしい波の季節でもそう。
ここにあるの。
紺碧の水面に覆われた海の中はゆらゆら、大きなおなかをうるさそうに揺らすだけで済んでしまう。
いつか私がいなくなったあとでも広がっている景色。
変わることなんてない。
ずっとそこにある。
なんでも飲み込む胃袋の広い大きな海。
うっかり取り込まれないように気をつけなくっちゃね。
聞いた話では、人間の力で覆せるという。
その気になれば──
吹き飛ばせるという。
嵐でもどっしり、その奥底はびくともしない海を。
果南ちゃんの言うことは、ときどき嘘っぽい。
その知り合いって本当にいるの?
そんな話が全部、たった一人の行動だったという信じられない事実を。
一目で見抜く。
そういう特技です。
天気予報、得意です!
嵐がきたってわかってしまった。
もしかしたら、もっと大変な暴風。
本当に人間だったんだ!
しかも、女の子なんだね……
世の中って広い。
そりゃそうか!
こんなに広い海の向こうにも、人間は住んでいるんだもんね。
私はそんな遠くに行くことなんて考えない。
それでも、すぐにわかることがあるよ。
この学校で出会った人が、いったい何者なのか。
電車より速い。
岩だって砕ける。
生身で飛んで、海を割りながら飛び越えていける。
もちろん、果南ちゃんが紹介してくれたみたいに、頼りなくて幼いようにだって見えるけど。
高海先輩!
おっと、先輩予備は禁止。
私たちはこれから、ひとつの目的に向かって進む仲間であり。
一心同体、アイドルグループのメンバーです!
だからくすぐったい、名前呼びにも慣れないと。
千歌ちゃんは、私たち全員のところにやって来た嵐です。
動かないものだって転がしていく風。
広がる光。
遠くから近づいてきたとき感じた、潮の匂いのようなもの。
かわいい声で話をはじめたときの急激に広がる黒雲。
この瞬間に、私の人生はずいぶん変わってしまうんだなっていう、そういう危険の予報が頭の中でひらめいたのでした。
まあ、よくあること。
海辺の町で生きてきたら、嵐は珍しいことじゃないものね。
今までになかった経験も。
こうして割り切って、受け入れてしまえば。
どこまでも広い海みたいに、私も明日から、どっしり落ち着いていられるでしょうか?
珍しく眠れないベッドの中の考え事も、やがては静まることもある?
いつものさざなみの音が聞こえる窓辺の、変わらない場所で目を閉じたまま。
私は、明日も出会う嵐を予感して、揺れているのです。