『春の陽気は』
氷柱ちゃんの説得が実り
動物園行きは予定通りの日付に決定。
あれは説得というか
春休みなんだから家で仲良くして
みんなゆっくりするべき、
と主張する氷柱ちゃんを見て
これはどうやら
動物園そのものが予定からなくなってしまうかもしれない!
と、危機感を抱いた子たちが
がまんします!
けなげに宣言した結果のようでもあるけれど。
いくら氷柱ちゃんが
おうちで大好きなお兄ちゃんとずっと毎日近くにいたいと
考えているからって
かわいい妹たちの願いを退けてまで愛を貫き通すほど
まだそこまでは
迷ってしまうみたい。
行きたいならしょうがないか、なんて
あまり気が進まないような顔をしながら
熱心に動物園のことを調べているので。
氷柱ちゃんは、優しいお姉ちゃんなんだと思います。
甘えるのがちょっと苦手な妹のままで心配だけど
そこはまあ
頼りになるお兄ちゃんがいるので。
いずれなんとかなるでしょ。
というわけで
のどかなような、
短いお休みにやりたいことがたくさんあるような春休み。
今日のお昼は春休みクッキング突撃隊の
無鉄砲な挑戦によって
焦げすぎのハンバーグと
それに反省したらしい
真ん中に生の部分が残った硬いこふきいもを前に
みんなの努力にあまりに感激したお兄ちゃんが
おいしい!
おいしい!
喜びの涙を流しながら
たっぷりおなかを大きくした日。
わりと男の子としては
細身のほうだと思って心配していたんだけど
いったいどこに、こんなに入るんだろう?
残すなんてできない
もったいないって
努力の結晶を残らず味見して
細かいことは何も言わずに
おいしいよ!
ばっかりで、みんな笑ってた。
胃袋の容量に深い興味を持ったのは
吹雪ちゃんと
いつも君のことが気になっている氷柱ちゃん。
この人は
いったい何でできているのか!?
心配そうに
びっくりするように
うなってた。
かしこい子だから
これまで近くで見たことのない、男の子という生き物の
おおきい!
がっちり!
よくたべて
たのもしい!
何もかもが不思議で仕方がないのか。
それともずっと子供のときから
お兄ちゃんが欲しくってたまらなかったから
何をしている姿でも
見ているだけで
うれしくなってしまうのか。
ましてや、好きな人がうれしそうだったら。
……うれしかった?
苦しくなかった?
あの絶妙なしゃりしゃり食感のハンバーグと
口の残って強烈に後を引くなまやけ感……
ともかく
腹ごなしにお散歩に行けるくらいの余裕があってよかったね!
ちょっと苦しそうではあったけど。
今日はとっても日差しがさんさん
呼んでいるみたいなお天気で
いくら家族でおでかけの予定がまだ先だからって
おうちの中にいるのはどうにももったいない!
そんなときこそ
いこいの広場。
みんなで行ける公園だよね。
わがやの気が利くすてきなおくさん
春風ちゃんと蛍ちゃんが
衣替えの準備も一手に引き受けて
ああ……
女らしさが違う……
お姉さんは
追い越されつつある?
もうすでに
追い抜かれ、引き離されている?
そんな嘆きはどうでもいいんだけど。
とにかく、二人のおかげで。
それからこういう細かい手間がかかる仕事では大活躍の
小雨ちゃんの手助けもあって。
さらに、整理整頓の力仕事をがんばってくれる
キミのおかげで。
桜の下を歩く女の子たちはもう優しい色の春模様。
おなかいっぱいの元気な男の子も色合いでおそろいを意識したおしゃれ。
もうすっかりあったかくなったね。
というか
ずいぶんあったかくて
春服ですら少々汗ばむような
ちょっと動くと脱ぎだす子が
私たちに預ける上着が両手いっぱいで
ますます布地が増えた形になって
こっ
これは
お天気お姉さんピンチ!
って思ったわ。
たすけて
おひさま!
もう少しやさしくしてください!
って。
動物園行きの日が曇りになる予定でよかったかも……
いくら気象予報士でも
ぐんぐん増していく暑さを何とかするのは難しいから
手間がかかっても、この時期は着替えで調節が必要!
それと
汗をかいて帰ってきた後も着替え!
その前にお風呂!
20人で!
とは、なかなかいかないから
じゃんけんでグループを決めて。
家族だから裸になるのは当たり前。
身も心も
いつも私だって
キミを見つめていますって
さらけ出してしまう。
そうしたかったのに
グループが分かれちゃって残念だったね!
明日もやっぱり気温はぐんぐん急上昇。
おしゃれのコーディネイトは
男の子はこういうの苦手そうだし
やっぱりお姉さんに頼るのが安心だと思うな。
いろいろ何もかも見てあげる。
快適な春休みの過ごし方
おしえます!
年頃の男の子として、どうしても秘密にしていたいことは
大丈夫、ふたりだけの間の秘密にしてあげるから。
これから
ぜーんぶ任せておいてね。