さくら

『くまさん』
さくらの好きな
くまさん。
やわらかくって
ふわふわで
おおきくて
あまくって
はちみつだいすき。
もう……
とっても
かわいいの!
でも、さくらちゃん。
春はきをつけて。
お兄ちゃん、さくらは聞いてしまったの!
あのね。
くまさんは冬のあいだ
ずーっと眠っていたから
おなかがすいている。
川に入っても
おさかなはいなかったし。
お山のどんぐりも、はちみつも、
なんにもとれない。
だから、くまさんはかんがえた。
冬になるまえに
おおきなからだに
いっぱいごはんをつめこんで
しばらく何も食べなくてもいいことにする!
……
さくら
それはむりだと思うの……
おなかこわすよね?
くまさん
おなかがいたくなったら
お兄ちゃんとお姉ちゃんがしんぱいしますよ?
だけど、だいじょうぶ。
なにしろくまさんは
つよーい!
ちからもち!
お兄ちゃんの次くらいにつよい!
たべるものがなかったら
いっぱいたべて
ねむるの。
すやすや
春をまつ。
せかいでいちばん
春をたのしみにしている
かわいい生き物。
それが
くまさん!
おーい!
春がきたよ!
さくらのおうちも
みんな春休み。
いっしょだよ。
くまさん、
でておいで?
ところが!
春になったばかりのころ、
くまさんは
おなかがすいて
すきすぎて
ばんごはんのまえのこどもよりも
ずーっとおなかをすかせて
うわーん!
ごはん!
あばれているので。
さくらちゃんがおなかをすかせたときみたいに、
だって。
お兄ちゃん!
ホタおねえちゃんが
さくらをいじめる!
おなかがすいたくらいでは
なきません!
ぷんぷん。
あんまりかわいいと
いじめてしまうって
ほんとう?
だけど、お兄ちゃんにいじめられてしまったら
さくらはないて
ないてないて
べしょべしょにないて
みずたまりになって
きえてしまうまで
ないちゃう。
お兄ちゃん、さくらのことかわいがってね?
くまさんときたら、それはもう冬をずっと
なんにもたべないでいたので
いくらつよいこでも
それは
きびしい!
であったら
さくらは
まるのみにされてしまう。
ひっ
ひええー!
びょええー!
わわーん!
お兄ちゃんは
さくらがくまさんにおそわれたら、まもってくれるでしょ?
つよいお兄ちゃんだもの!
さくら、もう
お兄ちゃんからはなれない!
ぎゅーっとしがみついて
しぬまで
いっしょ!
そしたら、はるかおねえちゃんが
とおりがかって
あら、さくらちゃんも
春はこいのきせつなの?
お兄ちゃん、しってた?
こいのはじまりは
目と目があったらすぐ。
さくらはもう
こいをしているから
ずーっとはなれないでも
いい!
と、ききました。
やった!
春休みは
こいのおやすみ。
デートしようね。
どうぶつえんのくまさんは
あったかくしてもらっていたから
えさもいっぱい。
会いにいってもだいじょうぶ!
しんぱいない!
おやまのくまさんも
どうぶつえんにいったらいい?
それでも
おやまがすき?
さくらは、
もしも
どうぶつえんにいてください!
っておねがいされたって
ないてないて
かえってきます。
ここがさくらのおうち!
どうぶつえんは
デートのいきさき。
お兄ちゃん!
さくらは
くまさんに会いに行きます。
お兄ちゃんもいっしょに見ようね?
とってもかわいいんだから。
ちいさいこ
みんなでみている
どうぶつえんのちずがあるの。
くまさんのおうちに
さくらがあんないしてあげます!