星花

『二月から三月へ』
バレンタインも終わり
星花のおうちは平常運転に戻りました。
わずかにとどまる名残といえば
食べても食べても
どれだけあるのか
食卓のサイドメニューに並ぶ変り種チョコ餃子がへらない!
餃子の皮に閉じ込めた
おいしい先達の工夫。
世の中には
たくさんのチョコメニューがあったのです。
お兄ちゃん、
お気に入りのチョコ餃子あった?
バナナが大当たりだと思います!
えびも人気。
じゃがいもも意外と?
うーん、
大皿に乗せきれないほどの夢と希望。
霙お姉ちゃんがよく言う
暗黒のブラックホールのような
あんこやチョコのふところの深さを
今は実感するところですね!
ここにブラックホール出現!
なのでした。
それから、お兄ちゃんにあげた
いちばん上手にきれいにできたチョコをあげたときの残りで
試作品としてもしもの時のために保存しておいた分が
まだ冷蔵庫にはいくらか残っています。
おうちの子のおやつにとっておいて
お休み明けの明日はお友達に会って
友チョコ交換会ができるかも。
小学校に持っていったらいけないので
放課後、仲のいい子で集まって。
明日もいい天気になりそうで、
またうれしいことが待っていそうな週明けです。
この次にわがやに訪れる
カレンダーの上の大きなイベントは
次は女の子のお祭り。
三月三日の桃の節句
お雛祭りがやってくるの。
二月は少し短いから
あんまり油断していたら
蛍お姉ちゃんばかりじゃなくても、びっくりしちゃう。
あれれっ!?
なんと、あと二週間で三月なのでした!
そろそろお雛様の準備をはじめる頃。
去年、虹子ちゃんや青空ちゃんたちが喜んで
勢いで人形飾りもゴロゴロ転がると
お人形に傷がついてしまったら、ちょっとかわいそう。
はらはらして見ていて。
ようやくお仕事を終えて、星花たちの家族を守ってくれるお雛様が
箱にしまわれるときになると
今年はありがとうございました。
大変だけど、楽しかったお雛祭り。
どうか来年まで体に気をつけて、ゆっくり休んでください。
丁寧に、感謝の気持ちを込めて見送った
箱の中で眠るときでも、変わらぬ優しいお顔のお雛様。
また来年。
よろしくお願いします。
今年ももう、そんな時期になるなんて
うわー、
早い!
という気がするのは
やっぱり、二月が少し短いせい?
あんまり関係ない?
もう、二月も半ばを過ぎて
春らしいお祭りが近づいてきました。
桃の花が、寒さに黒く縮まっていたつぼみをほころばせて
いっぱいの暖かい光を浴びる時期。
といっても、本当の桃の花の盛りはもう少し後の三月終わりごろで
節句の飾りはハウス栽培のものが多いんだって。
その前に、もうそろそろ
観月ちゃんが楽しみにしている梅の花が目を覚ます頃。
って、気が早いでしょうか?
やがて桃のあとに桜が咲きはじめると
その時にはお節句のお祝いを済ませたおうちの女の子たちも
新年度に向けて
お兄ちゃんももう大人だと思っていたら
さらに新しい年度に向かって。
新しいはじまりの季節を、みんなで迎えるんですね。
星花がこの学年で過ごした一年は
はたして、悔いを残すことなく走り抜けることができたと
自信を持って振り返ることができるのか。
やっぱり
気が早いみたい。
もうすぐ暖かい春がやってくるのを
星花のこころは待ちきれないのでしょうか。
それまで、もうしばらく。
お兄ちゃんと手をつないで
舞い散る花びらと木漏れ日の下に駆け出していく季節がやってくるまで
今はあとほんの少しの間
こたつで寄り添いながら
だんだん、ゆるんでいくお外の寒さを話して
この冬もたちまち雪解けみたいに
気がついたら通り過ぎてしまっていくものなんだと
ゆっくり。
まだしばらくは、そんなふうに春を待っています。