夕凪

『ぐーぐーむにゃむにゃ』
わーお!
ゆうなの
おなかがなる!
すごい!
ちびっこでも女の子なのに
はずかしいね?
でも、冬だもんね。
あったまれ、
からだ!
エネルギーを使うの。
寒さに負けないように。
お外で駆け回って遊ぶために
風の子は
いつでもおなかをならしているよ。
たいいく!
校庭は広い。
風が吹き抜けて
びゅうびゅう
こごえても
はしっこからはしっこまで走りぬければ
汗ばむの。
先生の笛がなるよ、
夕凪のクラスは今日もさわがしいよ。
トラックをくるくるまわるだけで
体育、たのしー
エネルギー
つかってる!
それから
たいいくあとの
よじかんめ!
計算で頭をぐるぐる使います。
頭の回転にも栄養がひつよう。
なのに
どうしてよじかんめ!?
おなかなるー!
せんせいもわかってるから
はい、
しゅうちゅう!
おなかがすいても
もうすこしで給食です。
あと一息!
この問題を解いた人から
準備をはじめてね。
うわー
いいの!?
夕凪だって張り切るよ!
でも、そういう問題に限って
むずかしいんだよー。
お兄ちゃんは、小学校でそういうことがあったら
他のみんなより先に準備できてた?
夕凪より頭がいいから
問題を解いて給食着を来て、
てきぱき。
大きいお兄ちゃんに給食着!
にあわなーい!
あれ、でも
中高いっかんの木花じゃないふつうの学校に行ってたら
去年までは給食着だったの!?
蛍お姉ちゃんが他の学校だったら
現役で給食着なの!?
立夏ちゃんはおしゃれして
デコ給食着なの!?
中学校はしんぴてき。
まだ想像もできない大人の秘密がいっぱいだね。
夕凪はどこの学校へ進んで
どんな大人っぽい中学時代を過ごすのか!
木花が
中高ついでにだいもいっかんだったらなあ。
夕凪が入るころもお兄ちゃんがいるのに。
それにしても、お兄ちゃんは大きいのに
なんでまだだいじゃないの?
これからまだ大きくなるの!?
ぐー。
夕凪もぜったい大きくなると思うな。
横幅も広がるかもしれないけど
けんこうなしょうこ!
それからほかに
おなかがすくのは
かえりみち。
星花ちゃんと手をつないで
はやくかえろ、
おやつできてる?
ぐんぐんいそいで
はしってかえろ!
うたったら
星花ちゃんに叱られちゃう!
みぎみて
ひだりみてですよ!
言われちゃう。
はーい
落ち着いて帰ります、
しっかりもののお姉ちゃんがいるんだから!
星花ちゃんがいつも見ていてくれたら
夕凪、汗かいてうわぎを脱いだあとに
どこかに置き忘れることもあんまりないのにな。
すーぐ
脱ぎ散らかす!
薄着で帰って
氷柱お姉ちゃんに怒られる!
だって冬だもん
ぽかぽかあったまりたいじゃない、
ねえ。
本当は心配しているだけなんだって。
春風お姉ちゃんは知っている。
口うるさいのは
夕凪を好きだから。
なーんだ、そういうことなら
氷柱お姉ちゃんも
お勉強なんて後でもできるよ、
あそんで!
ほら、来ないと引っ張るぞー。
こんなに冷たい夕凪の手
あっためて!
あんがい
すぐ出てくる氷柱お姉ちゃん。
やっぱり夕凪のことが好きだったんだね!
夕凪も好き!
お兄ちゃんも好き!
氷柱お姉ちゃんも
お兄ちゃんのこと好き?
夕凪は知ってる!
氷柱お姉ちゃんが誘ったら
お兄ちゃんはすぐ出てくるから
ちょう愛されてるよ!
お兄ちゃん誘ってきて!
みんなでお外で
おなかぐーぐー。
ご飯食べたら
眠くなって、暗くなってお外で遊べないから
お兄ちゃんと氷柱お姉ちゃんがうとうとしてるところに
毛布かけて
ついでにそこにもぐって
夕凪のこと、あっためてもらう!
楽しみー!
夕凪、外で追いかけっこしてお兄ちゃんをへとへとに疲れさせて
寝かせちゃうぞ!
がんばります!