『ふっくら』
そんなに気にしているというわけでは
ないんですけど。
ううん、まったく気にしてないかと言うと
そういうこともないんだけど。
蛍もお年頃なんです。
お兄ちゃんから見たら、小さいいもうと蛍かもしれないけれど
すくすく
育っていると思うよ?
何も考えずに通り過ぎることはなかなかできない問題なの。
年末とお正月を経て
どうにか果たせたおせちの準備。
みんなに大人気だったおしるこ。
まるで蛍が人気者になったよう。
おたまを手に
くるくる回って
お気に入りのエプロンと、スカートがひらりひるがえる。
おたまからお汁が飛ぶ。
おしるこアイドルがおうちにいると
ちょっとお掃除が大変ですね!
まあ、そんな調子に乗ってしまった蛍と
困った妹の前でも
変わらない優しい笑顔でお掃除を手伝ってくれたお兄ちゃんのことは
とりあえず、
いつも迷惑かけてごめんなさい、
感謝しています!
お兄ちゃんは蛍にはあんまり期待していないとしても
蛍はお兄ちゃんのお役に立って
いっぱいもらったすてきなことを
少しづつでもお返ししたい気持ちでいっぱいだよ。
の、思いと一緒に
ちょっと恥ずかしい思い出も密かな本音も
蛍の心の中だけに
みんなには内緒でこっそりしまっておいて、
おしるこやお正月のふんぱつがもたらしたのは
ただおいしい夢のような時間ばかりではなく、
本当は悩むほどじゃないとわかっていても
でもやっぱり
お兄ちゃんは
蛍の体型が急に変わってしまったらおどろく?
やっぱり心配させてしまうかな。
あの。
お風呂に入ったときに、びろーん
びろびろびろーんって
蛍の体のごく一部分を引っ張られたのは
小さい子たちが悪いんじゃないの!
あんまり言わないであげてほしいの。
もう氷柱ちゃんにも怒られちゃったし。
そういうことを人にしたら気にするでしょう!
自分が言われたらどうするの!
おなかでてるー!
って。
氷柱ちゃん、
それは
蛍もつらいの!
そのあたりで!
あの、蛍は言われても特別嫌な思いをするわけじゃないし
ちょっと困っちゃうな、
くらいでわりとおうちの子では気楽なほうだと思うし
自分でついうっかりこうなってしまったなあっていうくらいの調子で氷柱ちゃんに
ほそすぎです!
お姉ちゃんは心配!
って全身をなでなでしてしまって
しばらく逃げられて
おなかを守ってほしくて心を込めた腹巻きもしてもらえないし
かわいく作ったのになあ。
だからね、やせたいというのとはちょっと違うので
どちらかというと、このまま冬の寒さにやけに頼もしそうになるのは特に問題ないのですけど
蛍があんまりまるまるしすぎて
縦だか横だかわからないシルエットになってしまったら
やっぱり体によくないよね、
お兄ちゃんも悲しむよね、
ホタだってお兄ちゃんにはいつもかわいいところを見ていてもらいたいよ、
意志の弱い子には無理なのかなあ、
うーん、
やっぱり、女の子らしいプロポーションを作りたいのも混じってくるみたいだけど。
でも、明日の朝は冷え込むという天気予報を聞いたら
小さい子も、体の弱い子もいる家だから
栄養つけてもらわなきゃ、
蛍の都合でダイエットメニューなんてとんでもないんだから、
元気な子たちだってたくさん食べてるのもあると思いたいよ、
どうなんだろう?
蛍が一人で美しくなったところで
といっても、別に特別メニューでたちまちきれいになると決まったわけではない
しょうしょうカロリーコントロールに自信のない、誘惑に弱い性格だけど
そこはいいの、
お兄ちゃんも
蛍弱いな!
あきれることない?
意思がすぐくじける貧弱なところがあるな、
なんて思わない?
優しいお兄ちゃんだから、そんなきついことまで考えないでしょうか?
ちょっとふくよかなほうが健康的でいいよ、
みたいな?
そこまで願うのは都合が良すぎかなあ。
蛍がまだまだ
もりもり食べて
あったかく野菜もお肉もバランスよく
とにかくがっつり
冬を乗り切ろう!
と、ますます冒険をはじめたら
お兄ちゃんは
困った蛍を止めようとする?
ホタは家族のみんなが元気に寒い日を乗り切ってくれるなら、
そのためにちょっとでもホタの挑戦したお料理がお役に立てるなら
ちょっとおなかのお肉をつままれても
うれしいと思うよ。
蛍のがんばるお料理と
手作りの服で、
みんなにあったかくしてもらえるかなあ。
元気になってほしい気持ち、
届いてほしい家族に
どうにかして届けられるでしょうか?
お兄ちゃんが寒くて困っていたら
蛍はしてあげたいことが
たくさんあるんです。
見た目もだんだんあったかそうになりつつある蛍のこと
すぐ思い出してもらえそうですか?