観月

『春風姉じゃが』
舞って
うたって
おおよろこび。
もう、来たのであろうか?
すがすがしい新年。
冬休み。
それに
サンタさんが良い子のところへ
ゆめを届ける
クリスマス。
早めに書いておきたいおねんがじょうのおかげで
いつのまにかそんなつもりになっているのか。
今年もどうぞよろしく。
一月一日の新しい年に、受け取る相手を想像して。
うっかりして
今年もお世話になりました、
とか
来年もよろしく、
なんて
書いてしまわないようにちゅうい!
なのじゃ。
お友達の顔を思い浮かべながら。
新年の始まりに、気持ちのいいあいさつを元気よく伝えて
うれしい気持ちをもうひとつ手助けすることができるか
少し緊張しながら。
姿勢よく筆をすべらせ、
家族で協力して作った芋はんを
おえかきちょうに何度も試し押しをして
新春の清らかな風に乗って届ける一枚を
おおさわぎして
これならどうだろう?
家族みんなに見て、確認してもらいたいときの
自信があるからほめてほしいと言おうとしているような顔。
ちびたちだって
大きくなったって
自慢の年賀状を
まず、いつもすぐ隣にいるなかよしに披露してみたいのじゃ。
どれどれ?
いつも見せたいのは自信作。
たいてい気持ちも
盛り上がっているさなか、
うん、
よきかな!
小雨姉じゃが
見せられない! って胸に抱えていても
無理して
みーせーてー、のおねだりは
したらだめ。
そこはひとつ、
小雨ちゃんなら
いつだって器用なんだから
きっとうまくできてる!
立夏姉じゃのように、気持ちを込めて心を尽くして励まして。
向こうから、見てほしいと言ってくれるまで待つのもだいじ。
なるほど、
小雨姉じゃだっていつまでもかたくなではいられないものな。
さわやかなお正月のためにがんばる
楽しいおねんがじょう書きだから
一緒にいて楽しさを分け合いたいのも本心。
いつだって同じであるはず。
勉強になるの!
小雨姉じゃも
心を開くのは早かったな。
失敗したところは
立夏姉じゃが上から書き足して
うまく目立たないようにできたな!
うーむ。
みごとなわざじゃ。
わらわも精神を集中させて
この筆に気持ちを込めないと
いつまでたってものんびりと
にぎやかなおねんがじょう書きは終わらない気がするのじゃ!
これを書き終えたら
あとは、大掃除のお仕事のあとで新年。
その前に、年上の兄じゃと姉じゃらは
聞いた話によれば
クリスマスパーティーの準備と
25日にもらう成績表をしっかり持ち帰ることが
大事なおしごと。
もしも、お勉強をきちんとがんばっていなかったら
この日に全部わかってしまうので
クリスマスパーティーのおいしいばんごはんは
まったくもう!
おしおきです!
まさか……
ひとりだけ、へらされてしまうかも!
立夏姉じゃの心配は
はたして本当であろうか?
悪い成績が目に見えてしまうのも落ち込むことだし
それではせっかくのクリスマスも楽しくないものな。
やっぱり学業だってそれなりにがんばったと
その夜の楽しい時間は、いい気持ちで迎えたいものな。
つまり
春風姉じゃは
がっきまつしけんの手ごたえが
よかったのであろうか?
それにしては
あんなに何かに取り付かれたように
気持ち良さそうに歌うのは
やはり、もっと特別な理由があるのかもしれぬ。
クリスマスの精が付いた?
それともこれから
春風姉じゃこそ、クリスマスそのものを形にした
人の口にずっと語り継がれる新しい伝統になっていくような
そんな気配もしないでもない
どこか強烈な力を感じるな。
気のせいか?
やっぱりこれは
プレゼントが楽しみなのか。
わらわがサンタさんに
お手紙で届けたお願いは。
頭の上のキュウビが
厳しい冬の朝の修行に
わらわとふたりだけのときでもさみしくないよう
いつでも思い出してゆかいな気持ちになる
かわいいこぎつねの
絵本がいいか、
と考えてな。
ちいちゃいきつねがいっぱいいたら
キュウビも子供がほしくなって
素敵に女の子らしくなっていくこともあるだろうし
わらわも子供がほしくなって
むじゃきでかわいい妹たちと
それから、どこでも見る小柄な妖異にも
いつもよりもっと
お姉さんらしく
やさしく触れ合えたら、
とも思うので。
とってもかわいい本が届いたらうれしいのじゃ。
わらわも
うたいながら待っている
年の暮れ。
途方もなくにぎやかでさわがしい日が
ここしばらくは続くのであろうな。