『空から』
テレビで続いているのは
見ているみんなが心配になる
大雪のニュースです。
不安そうな声がこぼれるよ。
うーん……
こっちでも降ったら大変だよ。
寒さのピークは明日まで、との予報。
これほどの大雪は
もう、しばらくはなさそう?
どかどかの大雪。
寒さで凍えて
電車もすっかり動けなくなり
夕凪ちゃんは帰り道に肉まんをほしがり
お姉ちゃんたちがおなべにいれる白菜で
買い物袋ははちきれそう。
星花、
お手伝いをつかまつります!
荷物をちょっとでも
軽く持ちやすくしてもらえるよう
バッグひとりぶん
うけもちます!
大丈夫。
いつもうるさいくらい
元気な星花だもの。
ときどきさわぎすぎて
お姉ちゃんにも怒られるくらいだもの……
なので。
ちょっとはこういうところで
有り余る暴れん坊の力を解消したほうがいいかも?
というか、こんな元気が
家族の役に立つならうれしいので。
遊びたくても
寒くても、
きらきらしたクリスマス直前の町に
お買い物のお供にでかけるの。
吐き出す白い息は
気温が低いからだけじゃなくて
がんばります! の興奮を
胸の中から伝えているんです。
もうすぐおうちののまわりにも雪が降ったら
星花、どれほどのおそろしい大雪が相手でも弱気にならないで
雪かきスコップを構えて挑んでいきます。
負けたくないです!
お兄ちゃんの家には星花ありと
雪が舞い落りる天にも見せつけます!
と、主張したら
そんなにもこもこ暖かそうで
雪かきできるかな、
って蛍お姉ちゃんに笑われちゃったの。
あんまり寒がりな星花はかっこ悪いですか?
本当に雪が降ってきたら
その時、
いよいよやって来た本番で
寒さで動けなくなっていたらどうしよう?
暖かい格好でも
いざという時にはたぶん軽快に動けるのだと
今のうちから続けているお手伝いで
ちゃんとわかっていてほしい星花なのです。
見ていてね!
けっこう身軽だと思うの。
強い自信というほどのものはないけれど……
たぶん!
このあたりに雪が積もるとしたら
やっぱりクリスマスなのかなあ。
ムードがありそう?
それとも、困ってしまう?
おうちで過ごすのを楽しみに
さあ帰ろうという時に滑ってしまったら
怪我なんかしてしまったら!
いけない!
もし本当に雪が降ったら
お兄ちゃんも、あわてないで帰ってきてください。
大丈夫!
蛍お姉ちゃんが腕を振るうご馳走が逃げないように
星花がきっちり見張っておきます!
ご馳走を、というか
食欲おうせいなにぎやかな女の子たちを?
帰ってくるときは慌てないで
でも、待っている子たちのよだれがこぼれて床につかないうちに
なるべく……
なんて、
星花は難しい注文を始めてしまいましたね。
家族みんなが元気で過ごせたら何よりの
クリスマスの夜。
それでパーティーのお楽しみもあったら、
もうひとつうれしい。
野望が大きいのか欲がないのか自分ではよくわからないけれど
やっぱりみんなが笑顔で過ごせたら
それが一番のクリスマスなんだと思います。
もちろん、サンタさんのプレゼントも届いたらなお大喜び。
楽しいことがいっぱい待っていそうな
24日の夜と、パーティーの25日。
あんまり雪が降りすぎたらと
サンタさんの安全な旅路を気にしはじめた良い子のみんなは
麗ちゃんから聞いた雪対策をどんなふうに解釈したのか
スパイクの付いたスノータイヤ? をそりの車輪に装着させたり
トナカイさんに暖かそうなふかふかブーツを履かせてあげた絵を
顔を寄せ合いながら一生懸命描いて
これならきっと
雪道も平気だね!
安心したみたい。
待っていますって
この絵と一緒にサンタさんに手紙を出したら
今からでも間に合うでしょうか?
当日はどうか怪我もなく
来てもらえることを祈っている子が
こんなにいるんだって
暖かい部屋の中に充満するこのパワーを届けられるかな。
応援している気持ちを
ちょっとでも力にしてもらえるかな……
お兄ちゃんも、サンタさんにお願いしたのでしょう?
みんなも気になっているんだけど
恥ずかしがっているみたいで教えてくれない、って
ちょっと不満なの。
いいのに!
お願いしたプレゼントが届いてほしいわくわくを
お兄ちゃんと一緒に味わいたいのだから
笑ったりしないし、
あ、笑ったりするとしても
馬鹿にして笑うんじゃないってこと、わかってね。
興味本位が先に立ってしまう気持ちも
ちょっとあるのは確かだけど。
いま一番の願いは、
お兄ちゃんにも絶対届くんだよって
そう言って
喜んでもらえること、
だと思うんです。
星花がそうだというだけかもしれないけれど。
お兄ちゃん、
プレゼントが届いた日は
一緒に喜んでいられたら
うれしさもきっとふくらんで
大きくなっていくはずです。
雪が降るのか
きらきらと星が降るのか
まだわからないとしても、
星花とおにいちゃんのこの家に
たくさんの喜びが降ってきて
みんなでふくらむ笑顔を見せ合えるように
サンタさんに願ったプレゼントは正直なところ、また別なのですが
クリスマスの夜なのですもの。
きっと叶うと
星花は信じています。