虹子

『あったまろう』
さむーいときは
にじこといっしょに
ほかほかしましょう。
ぎゅーって
くっつくの。
べたべた
むっちゅー。
はなれない。
きゅうばんが
ついている?
さては、ここにいて
おにいちゃんにとりついたのは
にじこかっぱ?
みょうに
かわいいかっぱだとおもった?
それは
かっぱじゃないからなの!
ほんとうは、おんなのこなの。
すきなひとを
あたためてあげたい
このきもち。
ほたるおねえちゃんは
ほっとこーひー
いれてあげたいな。
はるかおねえちゃんは
らぶたいふーん
ふきあれる。
にじこは
おなかにだきついて
むぎゅぎゅ
ってすると
おにいちゃんも
にじこも
あったかくなる。
くっつきあって
どんどん
あっつくなって
そのうち
とけちゃうまで
ぬくぬくになる
にじこだけの
ひみつの
あっためかた。
だきついたら
すきまがなくなるまで
もぞもぞ
こうするといいかな?
ぴったりあうかな?
って、していたら
ぴったりあったところから
だんだんと
ひろがっていく
ぽっかぽかの
あたたかさ。
からだじゅうに
つたわる。
ふうふう!
おかおも
ほてってきちゃう。
なぜなら
くっついているから。
おにいちゃんが
あったかいから。
にじこ、あったかい?
ふゆなのに
くっつきあったところだけ
とこなつ。
ふー。
そうだ、
だったら
うみにいこう!
と、はなれたすきまから
つたわってくる
ふゆのさむさ。
あーん。
おへやのなかが
だんぼうで
あったかいから
はなれてもだいじょうぶよ、
っていっても
くっついていると
あったかいんだもん。
だんぼうなんてかなわない
このあたたかさ。
どろーり
とろけそうになるまで
おにいちゃんと
にじこが
あつい!
あつあつ!
でもでも
はなれないくらい
ちからいっぱいくっついていたら
おやつも
おふろも
あらあら
いらないの?
じゃあ
おさきに
いただいちゃおうかな?
おねえちゃんたちが
ねらっている。
ドーナツ
ひとつもらっちゃおうかな。
いちばんぶろ
ざぶーんしちゃおうかな。
にじこちゃんは
ずーっとおにいちゃんにくっついているから
おふろにはいれないかな?
いいの!
おにいちゃんと
おふろはいるの!
ぎゅーってしたら
ぽかぽかあったまるから
おやつのあったかぎゅうにゅうは
いらないの!
ごはんも
ドーナツも
おにいちゃんが
たべて
おいしいなーって
わらったら
にじこも
うれしいの!
とけちゃって
まざってしまったから
もう、にじこのからだは
おにいちゃんとおなじになったの。
ふたりまとめてひとつのからだ、
いっしょになりました。
だから、きょうから
とけちゃったにじこをのせて
おにいちゃんは
にじこ。
いっしょうけんめい
くっついているから
だっこはにじこにまかせて
おにいちゃんは
じゆうに
ドーナツ
もらってきて
おいしくたべたら
いいんだよ。
にじこも
おおよろこびするよ!
もう、もう
これからずっと
にじこ、はなれない。
あっためあって
とけあって
こうしてふゆをのりきるって
きめたんだもん。
ね。
おにいちゃんとにじこ
ふたりで
きめました!
こうすれば
あったかいんだから
しょうがない。
さむいふゆには
しかたがないって
もう、にじこ
きめちゃったから
せかいでいちばんあったかい
おにいちゃんのおなか
にどとはなさない!
とけちゃったから
はなれないんだもん。