綿雪

『わたしだけの』
いよいよ明日からは三連休です。
今月の学園祭の準備で、これからだんだん忙しくなってくる
中学生から高校生までの大きなお姉ちゃんたちや
おうちの大きなお兄ちゃんに!
なかなかかまってもらえなくなる前に
ちょうどいいぴったりの時期に訪れたのが
みんなの連休。
今のうちにいっぱい遊んでもらって
それで、もう少ししたら寂しくなってしまっても
わがままばっかり言わないでがまんしなくちゃ。
楽しい学園祭の準備をがんばっているお兄ちゃんとお姉ちゃんたち。
ユキの相手ばっかりしてもらいたいなんて!
いけません!
でもこの週末は、
まだ準備が本格的になっていないから
おうちのちびっこたちといてくれる時間はいっぱいあるの。
青空ちゃんや虹子ちゃんや、元気な子たちは
あまりに楽しいことが多すぎて、疲れて眠ってしまうまで
ひと時も休みたくなくて、とにかくお兄ちゃんたちと遊んでもらう
たぶんそんなかわいい姿が家族の間を駆け回るのだと思います。
ユキはあまり元気いっぱいの子ではなくて
少しはしゃいだら苦しくなって、休み休みになるけど
でも、きっと小さい子たちのエネルギーいっぱいの胸の中と変わらないくらい
楽しみにしている
みんなで過ごす時間。
それにユキは
あんまり暑い今までの季節、自分の体を守ることで大変だったし
強い日差しの下では、いつ体調が崩れてしまうかわからなくて怖かった。
夏のユキは、いつも溶けてしまわないように気をつけるだけでせいいっぱい。
冬の間に作っておいたミニ雪だるまを取っておきたくて冷凍庫に入れたって
おうちの冷蔵庫は一年中大活躍だから、いつの間にか失われてしまうけど
もしも夏の間まで残っていてくれたなら
暑さに弱いユキみたいに、おそるおそる夏の真っ盛りをのぞいて
くらくらしてしまうのでしょうか?
同じ気持ちを感じて、そうして分かり合う友達になってもらったって
雪だるまはみるみる溶けて消えてしまうと思うの。
すぐいなくなってしまうのは悲しいな……
でも、すぐにいなくなてしまうとしても
夏の雪だるまと、友達になってみたかったかな?
とっても暑くてなかなか大変な夏を何とか乗り越えて
ユキはもうすぐ、過ごしやすい季節を迎えようとしています。
そんな時期に、期待の連休。
どこかに出かけるのかな、
と思っていたら
今日のお天気は、通り過ぎる夏と近づく秋を行ったりきたりで大変でした。
寒いくらいの風と、ぱーっと明るい日が差して急に上がる残暑の気温が
いったりきたり。
上着をいちまい重ねたら汗ばむようだったり
窓を閉めたらいきなり光が呼んでいるみたいなお天気になってまた開けたり
とても調節が難しい日で、夕方はおうちにいたみんなで慌ててしまいました。
お兄ちゃんは大丈夫だった?
まだ夏も終わりきっていないみたいだから
薄着でも平気だよ、って飛び跳ねていた夕凪お姉ちゃんは
だんだん早くなる夕暮れに暗くなりかけた頃、何度もくしゃみをして
ティッシュの箱を近くまで運んで鼻をかみっぱなしになってしまいました。
冷えただけで熱はないと言っていたけど
とりあえず、明日はゆっくりおうちにいようと話し合いました。
念のため。
今日だけでも、繰り返し吹き寄せた秋の冷たい風。
体調を崩した子が他にもいたら、無理をさせてしまうから。
もし連休にお出かけするにしても、様子を見て。
家でゆっくり過ごしたい小雨お姉ちゃんや麗お姉ちゃんの意見もあるから
ユキはこの数日、お兄ちゃんとおうちでいっぱい遊ぶことにします。
もし夕凪お姉ちゃんが風邪をひいて、ベッドで眠っていないといけなくなったら
せっかくの休日なのに、かわいそうですね。
ばんごはんの時はごはんをもりもり食べていたから、大丈夫そうだったけど。
春風お姉ちゃんも、もし風邪なんてことになったら
明日は夕凪ちゃんにおかゆを作ってあげるからね、と張り切っていました。
それから食べやすくて栄養をとれるような何か
定番の桃缶とりんごはどっちが好きかな、という話になったら
夕凪お姉ちゃんは、それなら
どっちも!
両方!
なんだって。
両方なんて、横で話を聞いていてユキは全然思いつきもしなかったから
びっくりして声を出してしまったの。
えっ!
両方なんて、そんなのありなの!?
夕凪お姉ちゃんは、おかゆなんておいしくないなと落ち込んでいたのが
桃とりんごのおかげであっという間に笑顔になるし
おまけにユキがおどろきすぎて変な声をあげてしまったものだから
ごはんのときにみんなで笑ってしまったの。
ちょっとはずかしい……
でも、楽しい時間でした。
明日からはお昼ごはんもみんな一緒だね。
あんまりたくさん食べられないユキでも、今日みたいに楽しく過ごせるでしょうか?
ちょっと弱い体をしているユキは
だけど、そんなユキにしか発見できない特別なことがいっぱいあるから
これから大きくなって、こんなに小さい頃から好きなおはなしを自分で作るようになったら
ユキにしか書けない面白いおはなしばっかりになるに決まってる、と
これはユキの自分だけの願いというわけではなくて
氷柱お姉ちゃんの意見なんです。
今日のごはんのにぎやかな笑い声の中で、優しい顔でユキを見つめて
両方なんておかしいよね、
敏感なユキだもの、
そんなことにすぐ気がつくんだから!
なんだかうれしそうでした。
ユキだけが作れる面白いおはなしが
本当にあるのかわからないけど
そんなことがあったらすごくうれしい。
みんなが喜んでくれて
いつも笑顔になってくれたら。
でも、今日思ったんだけど
たぶんユキは
この先もしもおはなしを作るようになっても
夕凪お姉ちゃんが風邪をひいてしまうようなおはなしは、あんまり得意ではなくて
心配してしまうから
あまり上手に作れるようにはならないと思います。
すぐに笑顔に戻ってくれるように。
いつも元気でいてもらいたいから。
明日のユキは、りんごをむく練習をしてみたいの。
ちょっと上手になれたらいいな、と思っています。