『春の準備はまだ進まず』
今日もまた寒い日。
あまり無理をして
片付けや新年度の準備や
新しいことばかりするのも
控えめにしておいて──
みんなとおうちで遊んだり
あったかく過ごすのが
天気の落ち着かない季節の変わり目には
きっと大事なことなんだと
そういうふうに過ごす子が多いです。
夕凪ちゃんは探し物があるみたいで
掃除をがんばっていたけれど、
すぐに見つかるものばかりとは限らないですから。
お掃除はいいことだってほめてあげたり
見つからなかったらなぐさめてあげたり──
一緒にいる時間がたくさんあったらと思います。
探し物は、
立派な大人になるのに
とっても早い近道のようなもの──
というから
日々のお勉強のことでしょうか?
地道な積み重ねの他に
なかなか近道はない、
大きくなるまでの歩みは──
こうしてがんばるお掃除や
毎日のお手伝いで
間違いなく力になるはず、
好き嫌いせずごはんを食べて
育っていく私たちが
普通に過ごす春休みこそ
どんなに急いで駆けていこうとするより
いちばん大事に違いない──
と、いうのは
家の中で過ごすしかない寒い日、
こたつから動かない言い訳も
少し入っているかもしれませんね。
なんて。
そういえば、こたつに集まって
季節外れの怪談まで始まり、
廊下の影で見かけたのは
肌も白く美しくすらりとして
まるで冬の妖精が魔法をかけて大人になったようだ、
その力で寒い日が続いてしまうのではないかと──
そんな話まで出てくるほどなので
暇だとよくわからないことになりがちですね!
明日はみんなで外へ出て
春らしい陽気の中を歩いたりできたらいいなとちょっと思います。
まだまだ落ち着かないお天気の中──
子供たちは、子供らしく過ごしていくことにしましょう!
夕凪
『春休みの変身』
夕凪はねえ!
お姉ちゃんたちのお料理を手伝って
作り方を覚えようとして
じーっと近くで見て
おじゃまをしていたよ!
本当は自分で作れるようになりたいんだけど
簡単なお手伝いだけでもうまくいかないし
まだ小さいからなあ──
でも、本当にできるかどうかはわからなくても
覚えておかないと、
それか、ちょっと覚えてみようかなと思って観察しておかないと
いつか挑戦したくなった時に困るじゃない?
覚えたかどうかもまだわからないというお話だよ──
たぶん大きくなって
かっこいいお姉さんになり
夕凪のお姉ちゃんたちみたいに
なんでも器用にこなせるようになったら
今日の経験が役に立つはず。
一年後か──
もう少し先か。
そんな感じの春休みの一日でした。
あれ、待てよ──
なんだか前に、確か、あれがあったはずなんだよね。
一年前の春休み──それとももっと前。
観月ちゃんといろんなお話をして
春にあらわれるもの
消えるもの──
桜や梅の妖精が育ち
ついでに、大人になる妖怪だとか
そういう言い伝えなんかをいろいろ聞いたの。
吹雪ちゃんにも聞いてみて
実際にありそうかどうかを
教えてもらい──
一緒に考えた大人になるマホウが
作りかけでどこかにしまってあったはず。
そうだ!
夕凪はあの時と比べたら
大きくなったじゃない?
かしこくなった──可能性も否定できないはず──
今なら、あのマホウを完成させて
明日のごはんに間に合わせることだって
できるかもしれない。
大きくなって美人に変わり
桜か梅か桃の花か──
きれいなその子が
お兄ちゃんや家族のみんなのために子供のころからがんばった
お手伝いのおかげでついに
おいしそうなお料理と
あたたかな食卓を用意できるとしたら。
いろんなことが少し変わってゆく
おだやかでやさしい春休みには
夕凪が不思議なマホウを完成させるくらい──ぜんぜんありえるに違いない。
どこにしまったっけ?
それとも──片付けができないようではまだまだなのだろうか?
いやいや、まだわからないぞ!
春を迎えるためにゆっくり続けてきた
お部屋の片付けが上手にできていたら、何かが変わっているかもしれないぞ──
真璃
『マリーが来た!』
春になり
マリーが一番好きな──
みんなで集まるイベントが増えてきた!
のどかな昼下がり、
おやつの時間に
わいわい言って、にぎやかでもいいの。
もうすぐやって来る
お花見に──
出し物の手品の練習をしたり
カラオケ大会だってしてみたいの。
小さなマリーは
いつもみんなの中心にいるばかりではなく
盛り上げ役の裏方だってしてみせる!
その証拠に、見て──
こんなに雨が続いて
お外でいっぱいに体を動かす遊びができないとき、
本当ならわがままなマリーは
もっとさみしそうにして
フェルゼンに甘えて
お話を聞いてもらいたい時間が
多いかもしれないのに──
今年の春休みは
小さな妹が同じことをいうと
なぐさめてあげたり
一緒におままごとをしてみたりと
ちょっと頼りになるのよ。
クイズ!
どうしてでしょう?
答えは──
マリーも知らない!
でした!
まあ、みんなで同じ不満を言ったり
お天気を相手にいろいろ言っても仕方ないから
ときどきは──ちょっと頼れるお姉さんがいると
楽しい気もするものね。
さみしいとき、困ったときに
相談相手になったり
遊んでもらったりするお姉さん──その名はマリー。
でもきっと
良く晴れたとき──真っ先に飛び出して
かけっこをおねだりする子──それもマリー。
だんだん毎日暖かくなって
今日は雨でもそんなに凍えるほどでもないわね。
やさしい季節がもうすぐやって来て──マリーをとっても美しく
変えていくのかもしれないわ。
観月
『冬の名残』
白いお着物で
肌の色も薄く美しく──
大人になったらさぞきれいになると思わせる
ちいさなわらべ──
冬だけにあるあやしいものがいるとしたら
そのような姿をしているであろう。
このごろの寒さは
きっと、何かそれに近いものが
過ぎ行く凍える季節を惜しんで
もっと冬を楽しみたいとふるえながら
今この時を──
なかなか終わらない寒さを
生きているに違いない。
いや、もしかするとそれは
まだまだ暖かいお部屋で
兄じゃとくっついて過ごしたい
小さな妹たちの望んだ景色かもしれぬ──
みんなもかわいくて
やがて大きくなったら美人になりそうだからの。
もちろんみんな
いきいきとした力にあふれているからの──
望んでしまったら
もしかすると──何かが
この世界にあらわれるということもあるだろう。
待てよ──
あるいは、わらわの兄じゃが
もっとみんなのそばで
離れずに過ごしたいと考えて
気付かないうちに──あるいは知りながら
世の中を変えてしまっているとしたら
この寒さも納得がいくというものじゃ。
姉じゃたちに言わせたら
かわいい兄じゃだというからな。
わらわには大きくたのもしい
やさしい兄じゃだが──
これから長く冬が続いたとしても
一緒であれば何も困らない
わらわの兄じゃなのだが──
まあ、いずれ冬は明けるであろう。
かわいいみんなの祈りはやがて
春ののどかな風景に溶け込んでいくのだろう──
なんとなく気が付いている──
その日は近いのであろうな。
虹子
『はるのおやすみに』
ごほんをさがしに
いきたいの。
やまをこえ
うみをわたり
としょかんへ、
ほんやさんへ。
よいごほんのおいてある
それは、どこだ?
おにいちゃんとてをつないで
さがしにいくの。
はるやすみなんだもの。
おにいちゃんは、どんなごほんがすき?
ねこのでるごほん、
いぬのでるごほん、
ひつじのとうじょうするごほん。
それはおにいちゃんと
よむごほん。
おにいちゃんと、にじこがよむごほん。
いったい、どこにあるのかな?
はるのひに──
ぽかぽかあたたかくても、
くもりぞらのしたでも
さむいかぜのおとがしたって
ごほんをよんだら
こわくなんてない。
たとえ──
おそとであそべなくて
ないているこどもでも、
イカやタコのインクをかけあうあそびにまけて
くやしいこどもでも、
おにいちゃんとごほんをよんだら
それだけでとっても
いいいちにちになるのだと
ちいさいこは
だれでも、みんなしっている。
これからさき
おにいちゃんがそばにいてくれる
はるのまいにち。
いっしょにごほんをよんでもいいの──
いくらでも
いっしょにいてくれる。
いつまでも
にじこがねがうだけずっと──
それが、はるのおやすみのひ。
いいごほんをよめたらいいな。
きょうもいっしょなんだから!
小雨
『出会いもいろいろ』
今日の寒さで
手がかじかんでいるのもあるのか
それとも、ハナビダマの操作が増えて
まだ慣れていないのか
陣地にジャンプして戻ろうとしてナイスを出すミスを
二試合も続けてしまった!
そして、どちらの試合も押し込まれた状況から
まさかの逆転で勝利した!?
もしや味方が
ナイスを激励と思ってがんばってくれたのかも?
だとしたら、味方が不快にならないタイミングで出せた偶然と
それではりきってくれる味方がたまたまいてくれた
幸運が重なったことになりますね──
春が来て、
イベントごとが増えて
そうしたら──寒くてお外に出ることが大変な時も
こういうちょっとうれしい出会いはあるものです。
最近の出来事といったら
小さい子たちと春休みの本を探しに
図書館に行って
忙しそうな中、親切な職員さんにお世話になって
恐縮したり──
もうすぐ迎えるお楽しみ、お花見の下調べに
お菓子のお店におつかいに行く機会も増えたり──
いろんな出来事がある日々は
小雨に刺激的な時間をくれて
そんなことが続くと
まさか、もしかしたら──
お部屋の中にこもる小雨ばかりじゃなくて
イベントが好きになる小雨が
いつかあらわれるのかもしれない。
ゲームの向こうで
腕前を競う相手同士でも
投げ合ってきれいに咲かせるハナビダマの景色。
新しいことが増えるのは
とっても美しい世界が広がる時も
あるかもしれません──
やがて小雨をどこかへ導くこともあるかもしれません。
シューターみたいに自分で塗るほうがインク効率がいいブキを
使う人にはあんまり意味はなくて
楽しいだけの追加かもしれないけど
新しいことはいいことだ!
そして、楽しいことはとってもいいことだ!
と、小雨がついに立夏ちゃんみたいなことを言い出す春もある──
やがては、一緒に過ごすお兄ちゃんにも伝わるでしょうか?
小雨が不思議と
イベント続きの春休みでどきどきしているということが──
今度は気を付けて、間違えてナイスを出さないようにしながら。
私たちが参加することで花開くハナビダマが、この試合でもたくさん。
うまくいかなくて悔しがったり──ときどき笑って過ごす日々が
今年の小雨にもやって来るようです──
さくら
『あそびにいこう』
いいおてんきだ!
はなはさき
ことりはうたい
さくらはおなかをすかせる。
わあ!
おなかがすいたよー!
たのしくって
あまりにも、はしゃぎすぎたから。
お兄ちゃんがあそんでくれて
さくらがとびはねたから。
うーん、こまったぞ。
よくみてみて!
どろで
すなで
よごれているさくら。
てをあらって
おきがえをして
おやつをたべるさくら。
そのまま
ねむってしまうさくら──
もっともっと、
お兄ちゃんといっしょにあそんで
いろんなことをおしえてもらって
いっぱいわらって
たのしいのに──
まだまだ、おそとでかけっこしたいのに。
ちいさいさくらは
すぐにおなかがなる。
ちいさいから
すぐねむくなる。
すこし
かなしい──
お兄ちゃんとあそべなくなってかなしいの。
そこで、かんがえた。
あしたもあそんでくださいって
お兄ちゃんにおねがいしたらいいの。
やくそくもしてくれたら
もっとうれしいの。
そうしたらさくらは
なきながらおやつをたべ
ぐずりながらねむるなんてことは
もうなくなってしまう。
そうしたら
おやつのじかんは
もっとたのしくなるよ。
おやつは、もっとおいしくなるにちがいない──
でも、もしも
やくそくをしてくれなかったら?
うーむむむ──
そんなとき、どうしたらいいか
さくらはまだわからない。
お兄ちゃんとおはなしをして
もっとしりたいな。
さくらのわからないことをしりたいな──
あったか、ぽかぽか。
おはなのひらくまいにち。
あしたもさくらはないてしまうのかしら?
それとも、もしかしたら
にっこにこだったりかもね!